FGF-2と歯周組織再生療法
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フラップ(粘膜骨膜弁)形成①剥離 リグロス®を用いたフラップ手術では,歯槽骨を直視できる粘膜骨膜弁を用いる.粘膜骨膜弁の形成は,歯肉表面から歯槽骨表面の骨膜までメスで切開を加え,骨膜剥離子を用いて歯槽骨からフラップを鈍的に丁寧に剥離することが重要である.②フラップと肉芽組織の分離 リグロス®を用いたフラップ手術などの歯周組織再生療法では,肉芽組織に満たされた歯槽骨欠損部が術野に存在することから,歯槽骨欠損部のフラップ形成では,歯槽骨欠損部に存在する肉芽組織とフラップを分離するように,メスや歯肉鋏を用いて慎重にフラップ形成を行う必要がある(FIG 9).歯肉の剥離6-3肉芽組織骨面FIG 9 歯肉剥離と粘膜骨膜弁の形成.リグロス®を用いたフラップ手術では,粘膜骨膜弁を用いる.そして,歯槽骨欠損部のフラップ形成では,歯槽骨欠損部に存在する肉芽組織とフラップを分離するように,メスや歯肉鋏を用いて慎重にフラップ形成を行う.いたフラップ手術をはじめとする歯周組織再生治療では,歯間部の創閉鎖が求められることから,歯間乳頭部歯肉を可及的に保存する歯間乳頭保存術(papilla preservation technique)を用いることが推奨されている.歯間部の歯根間距離が小さく,フラップ形成時に歯間部歯肉の壊死のリスクが高い場合は,「simplified papilla preserva-tion technique」(FIG 7b)を用いる. 一方,歯根間距離が大きく,フラップ形成時に歯間乳頭部の血流確保が容易で,歯間部歯肉の壊死のリスクが低い場合は,歯間乳頭部の唇・頬側,あるいは舌側に切開線を設定してフラップを形成する「modified papilla preservation technique」(FIG 7c)を用い,歯間乳頭部歯肉を一塊として保存することが可能である. そして,可能であれば,骨欠損部の直上に切開線を設定しないようにすることにより,創面を安定させ,歯間部の歯肉壊死のリスクを軽減できる(FIG 8).肉芽組織と歯肉の分離55CHAPTER 6 リグロス®を用いたフラップ手術の基本術式

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