FGF-2と歯周組織再生療法
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歯肉切開①歯頚部の切開 フラップ手術に用いられる歯頚部の切開をFIG 5に示す. 歯周ポケットの除去を目的とするフラップ手術では,歯周ポケットの深さを考慮し,歯肉縁から根尖方向に少し離れた位置から歯槽骨頂に向かい外斜切開(歯槽頂予測切開)を加え,歯の周囲の歯肉を積極的に切除する(FIG 5Ⓒ). 一方,歯槽骨をはじめとする歯周組織の再生を目的とするリグロス®を用いたフラップ手術では,リグロス®投与部位の歯肉切除量を可及的に少なくすることが望ましい.そのため,歯槽骨欠損をともなう歯周ポケットが存在してリグロス®の投与を予定している部位には,ポケット上皮のみを切除し,角化歯肉を含む外縁上皮の切除の少ない「歯肉辺縁切開」を用いる(FIG 5Ⓑ).また,フラップ形成のためポケットが存在しない部位も術野に含める必要があることから,そのような部位には「歯肉溝切開」を用い,歯肉の可及的な保存に努める(FIG 5Ⓐ, 6).②歯間部の切開 従来のフラップ手術では,歯間乳頭部の歯肉を離断する切開(FIG 7a)を用いることが多いが,リグロス®を用FIG 8 骨欠損の位置を考慮した切開線の設定.リグロス®を投与する骨欠損部を被覆する歯肉の創面を安定させ,歯肉壊死のリスクを軽減するためには,可能であれば骨欠損部の直上に切開線を設定しないようにすることが望ましい.図では,骨欠損の位置や大きさと歯根間距離を考慮し,骨欠損部の直上の切開を回避するため,部位aとbではsimplified papilla preservation technique(FIG 7b)を,部位cではmodified papilla preser-vation technique(FIG 7c)を用いて歯肉切開を行っている.歯間部の切開と切開線の設定FIG 7a~c 歯間部における切開線の設定.従来のフラップ手術では歯間乳頭部の歯肉を離断するように切開(a)することが多いが,リグロス®を用いたフラップ手術では骨欠損部を被覆する歯間乳頭部の歯肉を可及的に保存するため,歯間部の歯肉壊死のリスクを可及的に回避することが求められる.そのため,リグロス®を用いたフラップ手術では,歯間部の歯根間距離が小さい場合はsimplified papilla preservation technique(b)を,歯根間距離が大きい場合は,modified papilla preservation technique(c)を用いることが推奨される.*科研製薬より提供の図を改変simpliedpapilla preservation technique歯根間距離が少ない場合b歯間乳頭部を離断する切開(splitting incision)従来のフラップ手術で用いられる切開線amodied papilla preservation technique歯根間距離が大きい場合c骨欠損骨欠損cba54PART 2 リグロス®の臨床・テクニック

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