正しい臨床決断をするためのエビデンス・ベースト・インプラントロジー
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1888章ab症例5-a、b 患者は54歳、女性。歯根破折していた1を抜歯後、欠損部歯槽堤は水平的に大きく吸収した(a)。患者との相談の結果、SCTGによる歯槽堤増大術を行った後、ブリッジを作製することとなった。口腔外で上皮を除去(図1参照)した結合組織を用いて、1ポンティック部に対する歯槽堤増大術を行った。唇側に水平切開(黄破線)を入れ、そこからエンベロープフラップを形成し、移植片を挿入した(b)。症例5-c 術後6ヵ月。水平切開を加えた部位から白色のクリーム状排出物を認めた(青矢印)。患者に自覚症状はなかったが、移植片との関連を疑い、移植片の摘出を計画した。de症例5-d~f 1部の排出運動が生じていた水平切開跡に切開を加え(d) 、移植片を摘出(e)し、閉創した(f)。摘出した移植片が小さく、この後に排出物の再燃をまねくこととなった(1は歯槽堤増大術後に歯根破折したため抜歯している。この後、2に関しても将来の破折の可能性を恐れた患者との相談の結果、抜歯することとなった)。fck-2(マイクロブレード)症例5-g 移植片除去後3ヵ月。排出物の再燃を認めた(青矢印)。残存している上皮組織を取り残したことが原因であると考えられた。症例5-h この排出物に対してパパニコロウ染色を行い、顕微鏡下で観察したところ、内容物には上皮系の細胞が多数観察され、細菌および間葉系細胞の残骸はほとんど認めなかった。つまり、この排出物は上皮組織との関連が強く疑われた。そのため、残存している上皮組織を取り残したことが原因であると判断し、移植片の完全摘出を計画した。上皮細胞 (顆粒層): 赤い細胞上皮細胞 (有棘層): オレンジ色の細胞症例5:SCTG後の合併症(白色クリーム状の排出物)の病理診断とそのリカバリー

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