Chapter4根管洗浄と根管貼薬・仮封93Fig4-16e 咬合面まで緊密に積層充填が完了.Fig4-16g 側方から確認し,咬合面より若干低くなるように表面を整える.直接仮封材を咬合してしまうと,仮封材の崩壊をまねきやすくなるため,患者には仮封材を噛まないように注意しておく.Fig4-16f 最後に余剰の仮封材を水分で湿らせた綿球を用いて,仮封材の中央から歯質との接着面に向かって除去しながら圧接していく. 充填の際,仮封材を一塊にして一気に充填するとアクセス内に死腔が発生するため,積層にて充填していくべきです(Fig4-16a~g). また十分な仮封材の厚みが確保される場合,髄床底に綿球を入れその上から仮封をする場合があると思います.しかし,綿球を入れることは推奨しません.なぜなら綿球の繊維が歯質と仮封材の間に挟まることにより漏洩の原因になるからです33. 筆者は先ず米粒大のキャビトンを用意し,根管口と髄床底を緊密に充填します.その後は2~3回に分けてアクセス内を積層充填していきます.その際1回ずつ充填したら底を平坦にして積層すると死腔になりづらく緊密に充填できます.Ⅳ.細菌侵入を阻止する仮封 仮封材に求められる条件でも述べたように,経済性,強度,操作性,漏洩しないこと(しづらいこと)を考慮すると水硬性セメントが現時点では理想的な材料だと考えられます. 前述のように充填時の注意点は,仮封材の厚さは最低3~4mm必要,死腔ができないように積層充填を行うことが最も重要です.歯内療法を成功させるためには根管系から細菌数を減少させること,同時に根管内への細菌侵入を阻止する「仮封」も重要事項であると考えるべきです.
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