集まれ!訪問歯科衛生士ビギナーズ在宅口腔衛生管理スタートブック
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Chapter6 訪問診療の環境づくりの基本を知ろうその日その時の患者さんの状態に合わせた場所で 在宅で口腔ケアを行う前にまず気をつけたいこと、それは「患者さんの姿勢」です。診療や口腔ケアを行う際には「疲れない」「誤嚥させない」姿勢に整えることがまず大切です。 診療を行う場所についてはP.58で説明しましたが、それがベッド上か、車いす上か、それともダイニングなどにあるいすか、患者さんの状態によって変わってきます。普段は車いすで診療や口腔ケアを行える患者さんでも、その時の状態によってはベッド上で行う場合もありますので、訪問当日の患者さんの状態を把握することも大切です。患者さんに声をかけながら全身状態を見て、いつもと違うところがないか確認します。ご家族や介護者にもその日のようすをうかがいます。また、介護記録などがある場合は忘れずに目を通し、訪問日以外の患者さんのようすを把握することも大切です。患者さんの“意思”を尊重しよう また、「歯を磨くのは洗面所じゃないと嫌」という方もいらっしゃいますので、本人の意思を尊重したうえで、移動が可能な患者さんの場合は洗面所で口腔ケアを行います。「今は磨きたくない」という場合は決して強引に行わず、お話をして理由をうかがったり、リハビリやマッサージなど他のことを先に行い、徐々にブラッシングへ促すようにしています。 口腔ケア中も患者さんの姿勢に注意し、姿勢が崩れたらその都度、体勢を整えます(後述)。「疲れない」「誤嚥させない」姿勢がキホンA十時久子 歯科衛生士デンタルチェアがないけど、患者さんが寝たまま診療していいの?Q11診療場所は、当日の患者さんのようすに合わせて決めるできる限り患者さんの意思を尊重する患者さんの意思を尊重したうえで、負担のない場所、姿勢を選びましょう。ベッドの折れ曲がる位置に注意 まずはベッドで診療する場合のポジショニングについて解説します。介護用ベッドは上部(頭部)、下部(足部)、ベッドの高さの3点が上下するものが多いです。患者さんが楽な体勢になるよう、各角度を調整しますが、ベッドの折れ曲がる位置より上に骨盤がくるように合わせることが大事です(図6-3a)。からだがベッド下方にあると腹部がベッドの折れ曲がる位置にきてしまい、患者さんは苦しい体勢になっベッド:角度調整&補助クッションで安定度UP!十時久子 歯科衛生士図6-3 ベッド上のポジショニング良い例・悪い例ab69

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