集まれ!訪問歯科衛生士ビギナーズ在宅口腔衛生管理スタートブック
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わるひとたちへ有友たかね 歯科衛生士ここで落ち着いて考えてほしいのです。私たちには歯科医院での就業で習得したスキルと口腔を診る専門的な知識があります。歯科衛生診断などを活用し、口腔衛生管理をしてきた私たちだからこそ、“場所が変わっても変わらない歯科医療”を提供できるのです。 とはいえ、訪問診療で行う治療には限界もあります。患者さんの容態や診療する環境に合わせて歯科治療計画を立てなければ、“歯科医院とまったく同じに”という訳にはいきません。そのために必要な知識を備えるのが、本書の目的です。皆さんが患者さんの自宅(在宅)で歯科診療を安全に遂行するために、要介護高齢者の全身疾患や全身管理、生活環境を把握する方法や社会保険制度を知ってください。 本書は、口腔衛生管理を中心に展開しています。言葉は新しくても、けっして新しい技術が必要なのではありません。診療を行う環境が少し違うだけのことです。必要なのは、配慮と包括的な視点です。読み終えるころには、一歩踏み出している自分に出会えるかもしれません。さあ、お家へ行こう! 患者さんやご家族の温かい笑顔に会いにいきましょう!!!歯科訪問診療に必要な知識を身につけて、出かける準備をしましょう 近年では、長期療養型でみられる要介護高齢者の誤嚥性肺炎を「医療・介護関連肺炎(Nursing and Healthcare Associated Pneumonia: NHCAP)3)」とよび、その診療ガイドラインにも「口腔ケア」と「嚥下機能評価や訓練」が含まれるようになりました。これらの流れを受け、口腔健康管理の需要が高まることが予測されます。日本歯科医師会では、口腔健康管理を2つの要素に分け、口腔ケアを「口腔衛生管理」、歯科治療や摂食嚥下機能療法を「口腔機能管理」とし、歯科支援を行うとしています。歯科衛生士は「口腔ケアの実施者」から「口腔衛生管理者」へ生まれ変わるのです。歯科衛生士も生まれ変わります9

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