歯周再生療法を成功させるテクニックとストラテジー
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a1a2a3a4111225345366610910711109634434637848967₄₅₆₇₈CHAPTER 9 術後の合併症,および歯周ポケットの再発CASE 4a1~4 患者は31歳の女性,非喫煙者.歯肉の出血,歯の動揺が主訴で来院(2003年11月).上顎左側大臼歯部に深い歯周ポケットが認められた.動揺度は1〜2度,BOPも認められる.₆遠心部の根分岐部病変(Ⅰ度)が存在し,₆₇の歯根間距離が狭く,完全なデブライドメントが困難であることが予想された(まだ,CBCTを導入していない時期で,根分岐部の診断はプローブによる触診のみであった).切除療法(歯根分割)を提案したが,患者の強い希望もあり再生療法を試みることになった.368歯周ポケットの残存 術後合併症や何らかの原因で期待していたような結果が得られず,骨欠損および歯周ポケットが残ってしまった場合の対応としては,①ポケット除去手術(APF,gingivectomy)を行う,②再生療法を再度行う,③矯正治療を応用する,などが考えられる.ポケット除去手術(APF,gingivectomy) 骨欠損や歯周ポケットが残っているが,比較的浅い場合は,骨外科をともなうapically positioned ap(APF)を行い,生理的な骨形態を再現し,歯肉溝を浅くすることが望ましい. 骨欠損は良好な形態に回復しているが,歯周ポケットが残っている場合は,角化歯肉がある場合に限って,gingivectomyを行うことで比較的簡単に改善できる.角化歯肉が少ない場合は,APFを行うべきであろう.再生療法を再度行う 前述のポケット除去手術の適応を超えるような骨欠損が残った場合,その失敗の原因を十分考慮して,再度歯周再生療法を行う場合もある.この場合,患者に対して十分な説明と理解を得る必要がある.矯正治療を応用する ポケット除去手術が適応できない状況で,かつ再生療法を再度行っても改善が望めないと判断した場合,矯正的挺出を応用して骨欠損をなくすという選択肢もある.その場合も,患者への十分なインフォームドコンセントが必要である.歯周ポケットの残存CASE 4

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