歯周再生療法を成功させるテクニックとストラテジー
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bilaminar technique(CTG被覆)CTGLanger techniqueなど(CTG露出)CTGカバーフラップ術前の歯肉退縮歯肉露出根面水平断面矢状断面カバーフラップabcCHAPTER 7 根面被覆術FIG 9a~c 同じ結合組織移植を用いた術式でも,露出根面上の結合組織移植片(CTG)をカバーフラップで覆うか否かによって名称が異なる.Langer techniqueに代表される結合組織移植片を露出させる術式をbに示す.露出根面上の結合組織移植片にフラップが重なる術式をbilaminar techniqueとよび,cに示す.結合組織移植片への血液供給を考慮すると,結合組織移植片を露出させるbの場合はサイズの大きな結合組織移植片が必要で,術式cの場合は小さな結合組織移植片でも問題なく生着する3,36,39,46.bilaminar technique262結合組織移植術を用いた根面被覆術 結合組織移植術を用いた根面被覆術の利点は,高い完全根面被覆率,角化歯肉幅の増大,歯肉の厚みの増大である30~32.したがって,術前の角化歯肉幅が2mm未満である場合,あるいは角化歯肉幅が2mm以上あっても厚みが1mm未満であれば,結合組織移植術による軟組織の増大に努めるべきである33(FIG 12c). Langer techniqueの発表以降,結合組織移植術を用いた多くの術式が登場した34~39.そこで改良されたのは,移植片への血液供給,術後の審美性,術式の単純化などである.移植片への血液供給を考慮した代表的な例としては,乳頭部を離断しないトンネルテクニックがある.また,露出根面上の結合組織移植片の上に歯肉弁を重ねる方法は「bilaminar technique」とよばれ,移植片へのより確実な血液供給に寄与している39,40(FIG 9, 10). 一方,結合組織移植術を用いた根面被覆術は,有茎弁による根面被覆より瘢痕をともないやすく,審美的に不利な傾向がある41.とくに,角化歯肉増大を目的として結合組織移植片をカバーフラップから一部露出させる術式は(FIG 11),カバーフラップで結合組織移植片を完全に被覆するbilaminar techniqueに比べて審美的に劣ることも報告されており,術式選択時に考慮するべきである40,42.

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