歯周再生療法を成功させるテクニックとストラテジー
12/16

CHAPTER 5 部位特異性を考慮した歯周再生療法TABLE 9 下顎大臼歯部の歯周再生手術における留意点.❶₇遠心部の骨欠損のデブライドメントでは,フラップを十分に剥離して術野を確保することが重要である.❷ミラーテクニックが必要で,径の小さなミラーを用いるとよい.❸₇遠心部の骨欠損が広い場合,「骨移植+吸収性膜」を併用するほうが効果的である.❹₆₇間は歯間乳頭が頰舌側に細長く,繊細な取り扱いが必要である.歯根間距離が2mm以下ならSPPTを用いるほうが安全である.❺根分岐部のデブライドメントはロータリーインスツルメントやEr:YAGレーザーなどの器具があれば,より確実なデブライドメントが可能となる.❻根分岐部の開口部が狭い場合,odontplastyで根分岐部のスペースを拡げることがある.❼根分岐部病変の再生療法では,「エムドゲイン®+骨移植+吸収性膜+歯冠側移動術」を併用するほうが効果的である.❽₆遠心根に根分岐部病変がある場合,切除療法,あるいは抜歯が適応となる.181が頰舌的に長く狭いため,歯間清掃器具を使っていない患者ではプラークが溜まりやすく,慢性歯周炎による骨欠損が生じやすい.さらには,歯周炎の進行により骨破壊が進行した場合,根分岐部病変が生じる.エナメルプロジェクションの存在が根分岐部病変の発生率と関係している14.下顎大臼歯部の歯周再生手術における留意点(TABLE 9)①骨欠損 歯周再生手術では,第二小臼歯〜第一大臼歯間においては,歯根間距離が2mm以上の場合は papilla preservation technique――buccal approachが適応できるが,第一〜第二大臼歯間では歯間乳頭が頰舌的に細長く,術後の乳頭の壊死が生じやすいと思われるため,simplied papilla preservation technique(SPPT)のほうが安全であると考えている.下顎第二大臼歯遠心部では歯槽頂切開を遠心方向に切開を伸ばし,十分な視野を確保できるよう歯肉弁を翻転する. 徹底したデブライドメントのためにはミラーテクニックが必要となるため,小さめのサイズのミラーを使用することを推奨したい.②根分岐部病変 根分岐部病変の再生療法は,より挑戦的な治療となる.なぜなら,根分岐部のトンネル内を確実にデブライドメントすることは盲目的で,目で確認することが難しいからである.超音波スケーラー,ルートプレーニング用バー,さらにはEr:YAGレーザーなどを使用することで,汚染物質をより高い確率で除去できる. 根分岐部の開口部は歯肉弁辺縁部からの距離が近いので,上皮の侵入を阻止することが難しい.ゆえに,吸収性メンブレンを併用することで上皮の深部増殖をコントロールすべきである.「エムドゲイン®+骨移植+吸収性膜を使用し,歯肉弁歯冠側移動術を併用する方法が,より予知性の高い方法と考えている(CASE 8〜11).

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る