DIGITAL DENTISTRY YEARBOOK 2020
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38selected article from IJCd序文 従来の鋳造法と除去製造法によるコンピュータ支援加工法(CAM)は、歯科医にとって歯科補綴装置製作のもっとも一般的な方法である1。CAM法は一般的に、コンピュータ数値制御(CNC)システムによってモーター駆動のツールをコントロールしている。コンピュータソフトウェアの指示どおりに、これらのツールは設計されたフレームワークを材料ブロックから機械的に削り出す2-4。これらの技術は固定性補綴装置(FDPs)製作の王道と考えられていたが、除去製造法による製作にはいくつかの限界がある。それは原材料の無駄(ミリングされるブロックの未使用部分)であり、摩耗によるミリングツールのランニングコストの低下、ミリングバーのサイズによる形成限界、同様に微小領域をミリングする際のCNCマシン軸によるアクセス限界などである5-7。 付加製造法(AM法)はパウダーや液体ベースの材料を固体の物体へと構築していく、新しい画期的な製造方法とされている8、9。The American Society for Testing and Materials(ASTMインターナショナル)は、AM技術を「3Dモデルデータから物体を作り上げるために、除去製作法とは対照的に、材料を通常、階層的に結合していく方法」と定義している10。工業的にスタンダードなコンピュータ支援設計(CAD)データはStandard Triangulation Language(STL)で構成されており、その境界は三角形の面で表現される11。 2008年、AM技術に関するASTMインターナショナルF42技術委員会は7つのAM法のカテゴリー、すなわち光造形法(SLA)、マテリアルジェッティング法(インクジェット方式)、材料押出堆積法、バインダージェッティング法(結合材射出方式)、パウダーベッド法(粉末床溶融結合)方式(PBF)、シート積層法、指向性エネルギー堆積法の概要を決定した10。PBF法は歯科の3D金属プリンタでよく使われている。PBF法には選択的レーザー焼結法(SLS)、選択的レーザー溶融法(SLM)、および電子ビーム溶解法(EBM)の3つのタイプがある10。選択的レーザー焼結法(SLS) 1989年、カール・デッカードはジョー・ビーマンとともにSLS法を開発し、特許を取得した12、13。この方法では高出力レーザー(Nd:YAGレーザー)を粉末状の金属に照射し、薄い固体層を形成する(20~100㎛)。その上にまた粉末層を敷き詰め、フレームワークの次のスライス面を作っていく。レーザーにより、表層と下層を溶融させる。この過程を繰り返し、三次元(3D)物を構築していく(図1)14。 製作チャンバーは閉鎖され、金属粉末焼結の溶融温度以下の温度となるように温度管理されている。部分溶解現象は2002年にフィッシャーらによってひな形が提唱された15。部分溶解によって作られた物体は、粉末どうしの点接触から開始するため初期には高多孔性という特徴を示す。レーザーで加熱している間、さまざ図1 AM法の選択的レーザー焼結法(SLS)(additively.comの厚意による説明)。レーザーレンズレーザービームXYスキャンミラー地ならしのローラー粉末の供給製作されたパーツ粉末床製作の足場

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