DIGITAL DENTISTRY YEARBOOK 2020
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19Digital Dentistry:「画像検査のデジタル化:歯科用CT検査」本邦において、歯科用CT(以下、CBCTと略す)検査の保険導入により、急速にCBCT装置が日本中の歯科医院に普及し、日本全国の購入実績が20,000台を超え(2019年12月現在)、現在、日本は世界一のCBCT保有国となっている。そのような背景の中、歯や顎骨の画像診断ばかりでなく、CBCT検査の DI-COM (Digital Imaging and Communications in Medicine) データによる、矯正治療のシミュレーションや口腔インプラント治療のガイドサージェリーおよびSTLデータを用いた、CAD/CAMによる修復補綴への応用など、いわゆるデジタルワークフローを用いて、CTデータを多方面で臨床応用する歯科医師が全世界で増加している。一方、欧米ではエックス線被曝への配慮やCT検査時の病変の見逃しによる訴訟など、CTの適正な利用も問われている。本邦においても、2020年4月1日より医療放射線の線量管理・記録が義務づけられるようになった(厚生労働省:医療法施行規則の一部を改正する省令〔厚生労働省令21号〕、2019)1。同規則では、線量表示機能を有しない放射線診療に用いる医療機器については、当分の間、医療被曝線量の記録を行うことを要しないとの経過措置も授けられているが、CTを有する各歯科医院でも、医療放射線管理・記録を行う義務が生じている1-3。よって、今ほどCBCT検査を正しく修得した歯科医師が求められている時代はない。今回は、歯科医療におけるデジタルワークフローを中心とした画像検査のデジタル化として、①CBCT検査の特徴、②デジタルワークフロー利用も含めたCBCT検査時の注意点、③CBCT被曝の基本的な考え方と、④主訴部位以外の疾患が偶然検出される、いわゆる Incidental nding を見逃さない正確な画像診断のポイントと画像検査でわかる日常歯科臨床のリスクファクターとなる疾患を供覧し、⑤CBCT選択時のポイントと今後の展望も述べる。はじめにはじめに1.CBCT検査の特徴1.CBCT検査の特徴①CBCTの原理と各分野における応用範囲CBCTの原理図(図1)4および現時点での各分野(保存分野、口腔外科分野、矯正分野、補綴分野、インプラント分野)におけるCBCTの臨床応用を示す(表1)5。三次元的評価は各分野で広く臨床応用されており、とくに埋伏歯の位置(図2)、智歯と下顎管の関係および歯内療法へのマイクロスコープ下治療と併用される難治性根尖病巣への臨床応用など、多くのCBCT検査が今日行われるようになった。②将来、パノラマエックス線検査専用機は消えていく?現時点でのCBCTの特徴を示す(表2)。CT装置は装置の金額による二極化

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