新時代の歯周外科
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PeriodontalSurgeon’sBible図3 口蓋の歯肉の組織と厚み.口蓋の歯肉の厚みは,部位,年齢,喫煙の既往などにより変化する.さらに,その値はこれまでの発表されてきた研究結果によってもばらつきがある13〜16.咀嚼粘膜(masticatory mucosa)に分類される硬口蓋の歯肉は,口腔上皮(表層より角質層,顆粒層,有棘層,基底層,基底膜),粘膜固有層,粘膜下層により構成される.SCTGのためには,「1.5mm厚さの粘膜固有層」のみ採取することがもっとも望ましいが,臨床上は「2.0mm以上の厚みの歯肉を採取し,口腔外にて脂肪組織などをトリミングする」というのが実際である.口蓋の歯肉の組織と厚み口腔上皮(oral epithelium)<₀.₅mm粘膜固有層(lamina propria)≒₃.₀mm粘膜下層(submucosa)≒₂.₀mm骨膜(periosteum)大口蓋神経(greater palatine nerve)大口蓋動脈(greater palatine artery)骨(bone)上皮下結合組織を採取するための“距離感”図4 口蓋より上皮下結合組織を採取するための“距離感”.歯頸部より小臼歯部で2.0mm,大臼歯部で1.5mm,根尖側より一次切開となる水平切開を設ける.そこから意図するドナーの幅よりやや長くなるように約6.0〜9.0mmの位置にメスの尖端を挿入し,レストを置きながら「遠心から近心に」,メスを「引く」動作にて二次切開を行う.大口蓋動脈の走行はさまざまであるが,もっとも多いのが₄と₃の間で枝分かれする形状である(図内に合わせた歯式番号にて解説).歯頸部から大口蓋動脈の距離は,①₅₆₇の間で約14mm,②₄では約11mm③₃では約9mm.大口蓋動脈は先細りであるため,犬歯部で触れても問題は少ないが,大臼歯部の深部では大量出血につながることもある.常時使用するブレード長を知っておけば切開線の深度の把握に役立つ.手術用替刃の長さはプロダクトによって異なるが,筆者が使用するNo. 15のブレード長(フェザー)は約10mmである.₁.₅mm₂.₀mm₆.₀~₉.₀mm①②③160

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