新時代の歯周外科
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第8章 狭小化する歯槽堤と歯間乳頭への対応Anatomical/Morphologic Surgeryの成功のための要義図1 Anatomical/Morphologic Surgery(解剖学的/形態学的な歯周環境を改善する手術)は,CTGとの併用が大多数である.その成功のための要義とは「No Movement,No Expose,No Empty Space」.ドナーは受容側にて「動かざる,露出させざる,死腔つくらざる」を原則とする.遊離結合組織歯肉の供給側の比較図2 遊離結合組織歯肉の供給側の比較(参考文献9より引用・改変).口蓋から採取した遊離結合組織上顎から採取した遊離結合組織⃝十分な量が得られやすい⃝採取が比較的容易⃝受容側とよく調和⃝脂肪,腺組織が少なく繊維組織に富む⃝術後の供給側の疼痛,出血,壊死が少ない⃝移植後の容積収縮が少ない「死腔つくらざる」No Empty SpaceNo Movement「動かざる」No Expose「露出させざる」 とはいえ,もっとも頻度が高く用いられるのはやはり口蓋から採取されるCTGであろう.筆者が行うmicrosurgeryでは,遊離結合歯肉を1本の水平切開より開口するpouch flapから十分な量の結合組織を採取することを基本術式としている(図4,5). ところで,採取する歯肉の厚みについては考察の必要がある.分厚ければ分厚いほど,歯槽堤の増大には有利である.しかし,極端に分厚ければ,受容側と移植片への血液循環の再構築のために必要以上の時間がかかり6,場合によっては虚血の状態に陥り,受容側のフラップともども移植片が壊死に至るリスクも生じる.そのため「厚すぎず,薄すぎず」という塩梅が要求されるが,それを「〇〇mmの厚み」と明晰に提唱できる質の高いエビデンスを筆者はいまだ見つけるに至っていない. これまでに報告されている記述研究ではSCTGの159

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