新時代の歯周外科
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第7章 歯肉退縮に対するアプローチ根面被覆術に用いられるフラップデザイン図9a,b Semilunar flap.2mm程度の浅い歯肉退縮を対象とする.半月状の歯肉弁を歯冠側へ移動する方法.簡便であるが,根尖からの血流が断たれるデザインであるため,根面被覆への応用は十分な歯肉の厚みのある症例に限られる.a:半月状切開をMGJに設置して歯肉溝内切開と交通させ,部分層弁を形成.b:露出根面を被覆するため歯冠側へ粘膜弁を位置づけ,ガーゼにて圧迫止血する.原法では縫合を必要としていない。図9c,d Modified Langer technique27.歯間乳頭下にて水平切開を行うことが特徴で,ここから露出根面の歯肉溝内切開へと連続し,隣在歯にまたがり部分層弁を形成する.c:歯頸部の歯肉溝内切開から歯間部に水平切開を加える.この歯頸部の広げられた開口部から歯肉-歯槽粘膜境(MGJ)を越えて部分層弁を形成し,移植片のスペースと歯肉弁のテンションフリーを確保する.d:粘膜弁を復位し縫合.原著では移植片を一部露出させているが,現在は露出部の粘膜弁を歯冠側へ移動させ,できる限り移植片を露出させずに被覆する方法が一般的である.図9e,f Laterally positioned flap(歯肉弁側方移動術)25.幅は狭いが垂直的に深い形態の歯肉退縮に適応される.粘膜弁の水平移動(回転移動)により,MGJの位置を変化させずに根面被覆を達成することが利点である.血流に乏しい縦長のフラップデザインであるため,広範囲の歯肉退縮には不向き.単独歯の歯肉裂開(dehiscence)が適応症.e:部分層弁の形成.歯肉退縮部の形態に合わせて有茎弁の粘膜弁をトリミングする必要がある.f:有茎弁先端の角化歯肉が露出根面に適合する位置へとフラップを回転させて縫合.側方に上皮の裂開が生じるがやむを得ない.ab■Semilunar flap■Modified Langer techniquecd■Laterally positioned flap(LPF)ef139

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