新時代の歯周外科
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第8章 狭小化する歯槽堤と歯間乳頭への対応Parallel Incision TechniqueによるSCTG①図5a-1〜4,b-1〜4,c-1〜4 a-1,2:一次切開は歯頸部より大臼歯部で1.5mm,小臼歯部で2.0mm離れた部位に始まる水平切開である.骨膜に触れても問題はない.a-3,4:表層の上皮を一層残すようにして二次切開を行う.二次切開の形成はenvelope flapの要領であるが,その際にはブレードの歯肉への透過が参考になる.そのグレー色がかすかに歯肉から透けるほどの位置にあれば,意図する表層より約0.5mm以下の厚みを保つことになる.b-1,2:骨面に当たるようなブレードの挿入角度にて三次切開を行う.骨膜は患者への侵襲と術後の早期治癒を考慮し,剥離せずに供給側に残しておく.一次切開から三次切開まではいずれもブレードを遠心から近心に向かって引く動作である.b-3,4:歯肉を供給側から遊離させるための縦切開を近心に設ける.以降の切開には「小回り」の効く390番か11番のブレードが使用しやすい.ブレードをenvelope flapの表層に戻し,最近心部でブレードを骨面に垂直に立て,骨面に当てるようにして移植片の厚みを一刀で切開する.なお,遠心の縦切開は出血をきたすのですべての切開の最後に行う.c-1,2:「底」になる部分を切開する.移植片をピンセットで把持しながら,もっとも最深部にブレードを当てる.Microsurgeryであれば,可能な限り明視野でこの操作を行いたい.c-3,4:マットレス縫合により受容側を縫合する.縫合の前に吸収性コラーゲンを成分とする止血用創傷被覆材を挿入しておくことも一案である.c-1c-3c-2b-2a-1b-3a-3b-1c-4a-4₆.₀~₉.₀mmb-4a-2₂.₀mm161

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