0歳からの口腔機能と歯列の育て方
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生後5ヵ月生後2歳3ヵ月生後11ヵ月生後3歳4ヵ月 いびつな頭の形態と顎への影響を気にされ来院した、兄・姉のいる生後5ヵ月の女児。初診時に体の向き癖や、わずかな頭蓋変形(斜頭)がみられた。寝返りは右側方向にしかできていなかった。安定した自座位はできていなかったものの、すでに離乳食を始めていた。母親の話から食への意欲はなく、なかなか進まないとのことであった。模型からは、口蓋は深くなく吸啜窩のくぼみがほとんどみられなかった。まだ嚥下の達人に達していないことや体の使い方、姿勢などを含め、1つずつステップアップしながら離乳食に取り組むよう指導した。また、兄・姉の協力のもと、寝返り遊びを積極的に行ってもらうこととした。 3歳に至るまで、犬歯部比にあまり変化はなかった。左右の対称性を保ちながら長径と幅径がバランスよく大きくなっているため、歯列弓はU字型のまま推移していった。11ヵ月の模型では前歯部にやや叢生を認めたが、3歳時点でほぼ標準的歯列に成長したことがわかる。頭蓋変形については、2歳の頃には気にならないほどになった。保護者は、兄と姉に比べて成長に違いがあることを不安に思っていたようだが、2歳時点で模型や口腔内写真から兄・姉らとほぼ同じような成長のキャッチアップがみられたことで安心したようだった。 保護者はえてして兄弟・姉妹間で比較してしまうものであるが、本ケースのように、兄・姉が一緒に遊んでくれたり、食べ物を分け与えてくれたりなど協力してもらえれば、赤ちゃん歯科にとって心強い味方であるといえる。歯の萌出時に叢生がみられたケース患者初診時:5ヵ月 性別:女児 出生時体重:3,791gCASE25ヵ月5ヵ月5ヵ月4歳0ヵ月 歯列弓 U字型 歯間空隙 不十分 犬歯部比 3.00 口蓋の深度 浅い傾向 左右の状態 対称 歯列弓 U字型 歯間空隙 やや不十分 犬歯部比 2.97 口蓋の深度 浅い傾向 左右の状態 対称 歯列弓 U字型 歯間空隙 ― 犬歯部比 2.76 口蓋の深度 標準 左右の状態 非対称 歯列弓 U字型 歯間空隙 不十分 犬歯部比 2.92 口蓋の深度 浅い傾向 左右の状態 非対称103

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