補綴・咬合の迷信と真実
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総義歯部分床義歯咬合・口腔外検査補綴修復インプラントオーバーデンチャーインプラント補綴装置いと報告されている。ただし、合併症の種類がそれぞれで異なり、単冠の場合にはスクリューの緩み(5.6%)がもっとも多く、連結冠の場合には、表装材料の破折(12.4%)がもっとも多いと報告されている。また、エクスターナルコネクションのほうがインターナルコネクションより有意に多く合併症が報告されている。 Cochranら10は、5年間の前向き研究で、連結された補綴装置と単冠で歯槽骨量の変化の観察を行った。イ【研究の目的】 インプラント補綴装置におけるスクリュー固定とセメント固定間の生存率と報告された合併症の評価についてのメタアナリシス。【材料および方法】 インプラント固定型補綴装置の臨床研究に関する電子検索(2000年から2012年9月)に加えて手動検索が行われ、スクリュー型とセメント型の比較が行われた。【結果】 4,324のアブストラクトと321文献から、73文献が選出された。5,858本のインプラントが選ばれ、平均観察期間は5.40年であった。内訳は単冠が1,720本、ブリッジが979本、フルアーチが928本、延長ブリッジが61本であった。ンプラント支持の単冠が2.64mmに対し、連結冠が2.90mmで、生物学的には単冠のほうが有利であると報告されている。●連結、非連結の判断は? 科学的には、どちらがすぐれているというコンセンサスは取れていない。状況によって判断するべきだと考えられる。 例えばGrossmannら11は、インプラントの位置が理想的ではない場合生存率 5年生存率に関しては、セメント固定型が96.03%、スクリュー固定型が95.55%であった。補綴装置の大きさ(SC、FPD、フルアーチ)によって生存率に有意差はなかった(表4-2-2)。技術的合併症 セメント型がスクリュー型よりも有意に多く報告された。セメント型では維持の喪失、アバットメントの緩みが多く、スクリュー型ではポーセレンの破折が多く、有意差がみられた(表4-2-3)。や、インプラントに負荷が多くかかる場合、また異常習癖などが考えられる場合には、負荷の分散などのために連結を推奨している。 デジタル技術が進んでいる昨今では、理想的なインプラント埋入や補綴装置設計を行うことが可能になっているため、単冠での補綴修復処置もメインテナンスを考えるうえではかなり有利な選択である。生物学的合併症 セメント型では瘻孔や排膿が多く、有意差がみられた。アバットメントやセメントの材料の種類では有意差はみられなかった。セメント型においては、オールセラミックスがメタルセラミックスよりも有意に失敗率が高かった(表4-2-4)。【結論】 セメント固定型におけるリスクを考えると、スクリュー固定型のインプラント補綴装置のほうが有利な部分が多いように考えられる。スクリュー固定型とセメント固定型のインプラント補綴装置による治療の臨床的評価─システマティックレビューWittneben JG, Millen C, Brägger U. Clinical performance of screw- versus cement-retained xed implant-supported reconstructions--a systematic review. Int J Oral Maxillofac Implants 2014;29 Suppl:84-98.文献3合併症固定方法研究数補綴装置の数総経過年数発症数100年を想定した場合の発症率p値維持の喪失セメント302,01510,394955.44(2.14-13.82)<0.01スクリュー362,74115,402770.61(0.30-1.25)セラミックスの破折、チッピングセメント311,95810,063301.02(0.37-2.83)0.02スクリュー373,00117,4282123.56(1.95-6.49)アバットメントの緩みセメント311,95810,063862.31(1.09-4.89)<0.01スクリュー362,78615,970850.62(0.33-1.17)合計(すべてのレジンのチッピングを含める)セメント332,07810,7782749.81(6.60-14.60)0.03スクリュー423,22618,4801,0867.50(5.37-10.47)1ピーススクリュー62361,127839.47(4.83-18.59)0.93*2ピーススクリュー128577,0523946.27(3.35-11.74)0.166**は推定されるセメント固定型の発症率との比較。このほかにアバットメントやフレームワーク、インプラント破折やスクリュー破折があったが、有意差はなかった。セメント型スクリュー型SCFPD5年生存率96.03%95.55%96.37%94.60%10年生存率92.22%91.30%91.16%91.48%表4-2-2 セメント型とスクリュー型の生存率表4-2-3 技術的合併症においてセメント固定とスクリュー固定で差が生じたものの一覧89

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