補綴・咬合の迷信と真実
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総義歯部分床義歯咬合・口腔外検査補綴修復インプラントオーバーデンチャーインプラント補綴装置Chapter4 インプラントオーバーデンチャー・インプラント補綴装置に関する迷信2インプラント上部構造はセメント固定よりスクリュー固定で連結を行うほうがいい迷それぞれの方法に利点・欠点があり、異なるパターンの合併症が生じる真●インプラント補綴装置の種類 インプラント治療は、インプラント埋入などの外科処置とともに、必ず補綴治療が必要となる。インプラントを用いた補綴装置の種類として、固定式のものと可撤式のものに大きく分類することができる(図4-2-1)。また、インプラント体と補綴装置を連結する方法として、セメント固定型とスクリュー固定型に分類することができ、連結部分でインプラント体と補綴装置が直接接触するものと、アバットメントなどを介在するものに分類することができる(図4-2-2)。●インプラント補綴の固定方法の変遷 従来は、スクリュー固定型のフルアーチのハイブリッド型の補綴装置が用いられることが一般的であったが、フルアーチの補綴装置の印象採得や技工操作はきわめて困難で、その結果として、補綴装置の不適合などの問題が起こりやすかった。Jemtら1や、最近ではKatsoulisら2は、不適合により、場合によってはインプラント周囲骨の吸収につながると報告している。そのため、セメント固定型へと変遷していくことになる。●セメント型とスクリュー型のどちらが優位? Wittnebenら3やSailerら4によるシステマティックレビューが近年報告されており、固定方法により発生する合併症の違いについてまとめられている。インプラント体の生存率では差がないと報告されているが、インプラント上部構造における生存率と合併症はともに、セメント固定型とスクリュー固定型で臨床結果として異なる特徴を示し、どちらが優位というものではないと報告されている。 Jainら5のシステマティックレビューでは、スクリュー固定型がセメント固定型と比べて維持の喪失が多いと報告されるなど、スクリュー固定型は補綴装置のトラブルなどの技術的合併症が多いが、生物学的合併症は起こりにくいことが示されている。一方で、セメント固定型は、技術的合併症が少ない反面、ロストや骨吸収など生物学的合併症が多く報告されている。 Staubliら6は、余剰セメントの取り残しがインプラント周囲炎の起因となる可能性があると報告しており、そのために、適切なアバットメント形態を付与することや、軟組織の成熟を待つことや、装着後の早期のフォローアップを推奨している(図4-2-3)。Wittnebenら7は、補綴装置の選択について、ディシジョンツリーを報告している(図4-2-4)。エビデンスで検討すると…図4-2-1 複数本にわたるインプラント補綴装置の種類。図4-2-2 インプラント上部構造の種類(単冠の場合)。(執筆・須田剛義)単冠連結冠可撤式補綴装置固定式補綴装置インプラント補綴装置の種類クラウンアバットメント一体型…①インプラントと上部構造間にセメントが介在…④アバットメント介在型アバットメントと上部構造間にセメントが介在…⑤スクリュー固定型セメント固定型既製アバットメント(マルチユニット)…②カスタムアバットメント(サイドスクリュー)…③既製アバットメントカスタムアバットメント(UCLA、CAD/CAM)インプラント上部構造の種類(単冠)①②③④⑤87

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