補綴・咬合の迷信と真実
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補綴修復総義歯部分床義歯インプラントオーバーデンチャーインプラント補綴装置咬合・口腔外検査(執筆・須田剛義)参考文献1.Loi I, Di Felice A. Biologically oriented preparation technique(BOPT):a new approach for prosthetic restoration of periodon-tically healthy teeth. Eur J Esthet Dent 2013;8(1):10-23.BOPTの臨床例(➢15ページ参照)図7 図4~6の症例提供:Dr. Gianluca Paniz(イタリア開業)。図2 BOPTの適応症。 BOPTの形成デザインを図1に再掲する。BOPTの適応・禁忌は図2、3のとおりである。図4~6にBOPTを適応した症例を示す。BOPTの臨床例 患者は上顎両側中切歯の審美改善を求めて来院(図4)。₁は、喪失した歯質量が多いこと、さらに根管治療が行われていることから、支台築造と全部被覆冠による処置が適応されることとなった。しかしながら、左側歯頚部の歯肉が薄く、すでに歯肉退縮が観察されており、支台歯の変色も認められたため、マージン部の歯肉増殖を目的としたBOPTが適用された(図5)。 生物学的幅径内で、vertical preparationが歯肉溝内に行われ、マージンの設定をしないフラットな形成がされた後、オーバーカントゥアのプロビジョナルレストレーションにて対称的な歯肉形態になるよう調整を行った。数ヵ月の軟組織の治癒後に印象を採得し、最終補綴装置が装着された(図6)。図1 BOPTの形成デザイン。緑色が形成ラインで、グレーの部分が補綴装置。BOPTでは、歯肉縁下で垂直的な形成を行う(参考文献1より引用・改変)。①支台歯頬側の歯肉が薄い場合(バイオタイプによる場合)②支台歯頬側の歯肉が薄い場合(歯のポジションによる場合)③歯肉縁下マージンを有する修復物の再治療の場合④歯の形態や歯肉辺縁形態の改善が必要な場合⑤歯質の変色、もしくはコア材料の色調の問題がある場合⑥外科的処置を避けるため (歯槽骨の吸収のリスクを避けるため)⑦将来的な歯肉退縮に対する保険図3 BOPTの禁忌症。①歯周状態が安定していない場合②生物学的幅径を侵す危険性がある場合③術者のスキルが成熟していない場合図4 術前口腔内写真。₁部の歯肉退縮と歯肉が薄いことが確認できる。図5 歯肉圧排された印象時の口腔内写真。反対側と同じレベルまで歯肉増殖が起こっている。図6 術後口腔内写真。₁部の歯肉が増殖し、歯肉の厚みが増加したことがわかる。Column47

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