補綴・咬合の迷信と真実
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総義歯部分床義歯インプラントオーバーデンチャーインプラント補綴装置補綴修復咬合・口腔外検査Chapter5 咬合・口腔外検査に関する迷信3歯牙形態や排列の調和・不調和に対する感覚は、歯科医師と患者で共有されている迷患者は歯科医師と異なる感覚をもっている真●審美的成功のための指標とは? 複数本にわたる治療における機能的・審美的成功の指標としては、Chicheら1により歯牙形態・位置や歯と歯肉との関係についての指標が報告されている(図5-3-1)。しかしながら、この図に示される要件だけでなく顔面との調和が得られなければ、患者が納得する結果とはならない。そのためには、顔面全体の評価が必要で、図5-3-2に示すような水平的・垂直的な基準線を記入することで、患者の顔面のどこが特徴的で個性的かを評価することができる。これらの顔面の基準線を参考として口腔内の水平・垂直ラインを決定することで、顔面と調和のとれたスマイルデザインをすることができる。 フェイスボウは顎関節と上顎骨の関係を決定するために開発されたものであるが、Koisら2は審美的評価に使用することを推奨している。また近年のデジタル技術の進歩から、Coach-man3はビデオ撮影などを利用して審美的評価を行い、それを歯のデザインへと結びつけるDSD(digital smile design)を提唱している。エビデンスで検討すると…図5-3-1 理想とされる審美的原則(Chiche、 Rufenacht、Magne、Fradeani、Gürelらの提案)。図5-3-2 口腔内の状態だけで判断するのではなく、顔面全体での調和を考えることで患者目線での審美性の診査を行うことができる(➢134ページのColumnに症例)。(執筆・須田剛義)XIIIXIIXIIIVIVIIIXIIIXIIXIIIVIVIII口腔内における審美治療の基本原則1.健康な歯肉2.歯間乳頭3.歯軸方向4.歯肉豊隆のゼニス5.歯肉レベルのバランス6.歯間部コンタクトの高さ7.歯の縦横比8.歯牙形態の基本的特徴9.歯牙形態のキャラクター10.表面性状11.色12.切縁の形態13.下顎のリップライン14.スマイルの対称性*スマイル時に、口角と上顎歯の頬側面との間で生じる暗い空隙その他の項目・スマイルライン・歯肉露出度・マージンの露出度合い・上口唇・下口唇形態・臼歯部露出度・buccal corridor*・咬合平面の位置関係・歯列の湾曲度・歯の左右対称性・歯軸の傾き・歯の長さ・顔面中心線(①)・鼻の走行(②)・下顎の偏位(③)・歯列中心線(④)③④②①垂直的基準線・瞳孔線(①)・外耳線(②)・口唇線(③)③②①水平的基準線117

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