生涯にわたる顎顔面の成長とインプラント治療
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インプラント治療後に起こる、上部構造と天然歯間のコンタクト離開を考察する 白土 徹症例2:₆単独インプラントと₇天然歯間の遠心側コンタクト離開(図4) 患者は初診時68歳の女性で、2007年に₆の歯根破折による抜歯後にインプラントを埋入し、2008年1月に最終上部構造を装着した。図4-a、bに示すように₆インプラントと両サイドの隣接面にはコンタクトの接触を認める。術後はほぼ毎月のメインテナンスで受診しており、大きなトラブルもなく経過していたが(図4-c、d)、術後10年経過した時点で、遠心側のコンタクト離開を生じてしまった(図4-e、f)。患者はこの時点で食片圧入を訴えていたが、相談のうえ経過観察となった。そして術後11年目に入った時点で、患者からの申し出があり、₇天然歯の補綴装置を新製することになった。 本症例においては、対合歯もハイブリッドセラミッククラウンによる修復を行っており、咬合面が摩耗したことにより₇が挺出したためコンタクト離開が生じたのではないかと推察している。その理由は図4-fで隣接面の段差を生じていたからである。リカバリー処置後、食片圧入は改善し快適に食事ができると喜んでいただいている。症例2:₆単独インプラントと₇天然歯間の遠心側コンタクト離開(68歳、女性)図4-a 初診時68歳の女性。2008年1月に6インプラントに上部構造を装着した。図4-b 両側の隣接面のコンタクトは接しており、特に問題ない。図4-c 術後7年の状態。ハイブリッドセラミックスの咬合面の摩耗を認めるが、コンタクトは接しているように見える。図4-d 近心側の隣接面コンタクトが少し空いてきているが、食片圧入などの症状はない。図4-e 術後10年の状態。インプラント遠心側のコンタクト離開が目視で確認できる。図4-f 7と6間のコンタクト離開と辺縁隆線の段差を認める。近心側の離開は改善しているようである。図4-g 術後11年目に患者と相談のうえ、7の補綴装置をセラミックスへ新製し、コンタクトの回復を図った。図4-h 7と6間のコンタクト離開は改善された。近心側のコンタクトも問題ないようである。bdfhaceg21

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