はじめての矯正歯科技工
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10矯正歯科技工に用いる器具第2章 矯正用プライヤーには補綴技工と共通するプライヤーもあるが,ここでは主に矯正歯科技工専用に用いられるアダムスプライヤー(Adams pliers),ヤングプライヤー(Young pliers),クワドヘリックスプライヤー(Quad helix pliers),バードビークプライヤー(Bird beak pliers)について述べる.  とくに矯正歯科技工で多用されるアダムスプライヤーは,先端に力を集中させるための優れた設計がなされている. このプライヤーはワイヤーの把持が確実であるため,単純鉤の屈曲や,緩いアーチの屈曲などにも用いることができる応用範囲の広いプライヤーである.また矯正歯科技工専用のピンセット,咬合器などの周辺機器についても述べるはじめに図2-2 プライヤーを閉じたとき,関節に近い部分に間隙ができる.図2-3 アダムスのクラスプの屈曲に際し,先端でワイヤーを把持したとき,先端だけに力の集中ができ把持が確実にできる.図2-1 アダムスプライヤーは閉じたとき,関節側の部分に約0.6mmの間隙ができるのが特徴である.このため先端で0.7mmのワイヤーを把持したときに先端に力が集中できて把持が,確実に行える設計になっている.関節近くまで把持面が平行でピッタリ接触していた場合,先端で把持したワイヤーが外側に滑ることになり(図2-4b参照)把持が不確実になるため,アダムスのクラスプにみられる頬側の小さなル-プ部分の屈曲が困難となる.間隙があることによりワイヤーの把持が確実でき,単純鉤の屈曲や,緩いアーチの屈曲などにも使用できる.アダムスプライヤー(Adams pliers)0.6mmの間隙

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