歯科衛生士のための21世紀のぺリオドントロジーダイジェスト増補改訂版
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80歯周治療に終わりはない6歯周治療をしても口腔細菌叢は変わらない 歯周治療の前後の菌叢変化を調べた研究は数多くあります。その結果をまとめると、以下のようになります。①歯周治療によって歯周病菌の量は減る。特に治療直後には大幅に減る。しかし、半年以内にまた増え始める。歯周病専門医の治療でも、歯周病菌は追い出せない。②バイオフィルム菌叢(細菌種)はほとんど変わらない。いったん完成した菌叢は現在の歯科医療では変えられない。 最新の解析機器を使った研究結果を図4-13に示します。歯周治療を行っても、駆逐された細菌種は見当たりません。だからこそ、一度減った細菌の量をまた増やさないために、歯科衛生士による定期管理が必要なのです。図4-13 非外科的歯周治療前後における歯肉縁下細菌種の比率変化25名の慢性歯周炎患者(平均63歳の男女、うち7名が喫煙者、残存歯21本以上、プラーク採取部位のポケット深さの平均6.4mm、唾液分泌量正常、う蝕や全身疾患の治療中でない、歯周炎に影響のある服薬がない、過去3ヵ月間に抗生剤服用やプロフェッショナルケアの経験がない)に対し、非外科的歯周治療(口腔衛生指導、SRP)を行った。指定した間隔で縁下プラークを採取し、TBI等の口腔衛生指導を行い(歯科衛生士等によるプロフェッショナルケアは行われていない)、細菌叢の変化を調べた。結果、ポケット内細菌量の大幅な減少により歯周状態は改善した。また、レッドコンプレックスをはじめ菌の構成比率に変化は見られたが、歯周病関連菌の駆逐はできなかった。(文献34より引用改変)■Porphyromonas endodontalis■Prevotella intermedia■Prevotella melaninogenica■Streptococcus sanguinis■Parvimonas micra■Campylobacter gracitis■Treponema denticola■Rothia aeria■Fusobacterium nucleatum■Porphyromonas gingivalis■Corynebacterium matruchotii■Rathia dentocariosa■Lautropia mirabilis■Veillonella parvula■Actinobaculum sp ot183■Leptotrichia sp ot417■Veillonella dispar■Tannerella forsythia■Prevotella oris■Treponema socranskii■Alloprevotella tannerae■Leptotrichia wadei■Bacteroidales[G-2] ot274■Corynebacterium durum■Prevotella nigrescens52025301510治療前後6週間後2週間後12週間(%)350P.g.菌T.d.菌T.f.菌注:歯周治療によって細菌量は大幅に減少している。本図は主たる歯肉縁下細菌種である25菌種のみを調べ、細菌の比率を示している。

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