攻めのクラウン・ブリッジ
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8Ingenuity of the Crown & Bridge Restorationはじめに1.骨頂を基準とする考え 前歯部補綴において,修復後にマージンが露出することは当然審美観を損ねる結果となる.そのため,マージンを隠すために歯肉縁下マージンを適応すると,歯周組織に負の侵襲を起こすことが臨床結果から報告され続けているが9,38,40,52,76,108,112,131,168,174,190〜192,217〜221,230,科学的に検証はされていない.また,歯肉縁下という用語自体に具体性がなく,歯肉溝も,付着(接合)上皮も,そして結合組織性付着すべて「歯肉縁下」という曖昧さがある. そこで,マージンを骨頂からどのくらい離せばよいのかという考えは,歯周組織を守る意味からも論理性があるといえる.Burchは骨頂から1.5mm以上離すことを推奨している21.Silnessは2mm以上離れているほうが予後がよいことを報告している192.Shillingburgは歯肉縁下深くにマージン設定した場合,破骨細胞の活動が刺激されて骨吸収が補綴装置のマージンから約2mm離れるまで続くとしている183.他にIngberら,Nevinsらの報告65,130を加味すると,マージンは骨頂より1.5~2mm離れていないと骨吸収が進むことが結論のようである32.ビーグル犬を用いたTalの研究204においては,部分的なアマルガム充填部位での骨吸収量から生物学的幅径を1.17mmとしているが,全周マージンのフル図1,2 カニクイザルに歯肉縁下マージンの形成を行うと,多くの検体でマージンから約2mmの骨吸収を認めた(日本大学歯学部・新井嘉則教授撮影).12

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