新版 開業医のための接触嚥下機能改善と装置の作り方 超入門
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uestionnswer 「口腔機能低下症」の診療報酬上の取り扱いでは、「咬合力低下」「低舌圧」「咀嚼機能低下」の3項目のうち、最低1項目について機器を用いた検査を行うことが「歯科疾患管理料 口腔機能管理加算」を算定する条件となっています。これら3種類の検査(咬合圧検査、舌圧検査、咀嚼能力検査)は、それぞれ所定の検査料を算定することができます(6か月に1回に限る)。なお、咬合圧検査と咀嚼能力検査は、いずれかの検査を算定した場合、算定した月から6か月以内はもう一方の検査の算定ができません。ここでは、これら3種類の機能検査の意義と手技について解説します。1)咬合圧検査(図9) ここでは、デンタルプレスケールⅡ(ジーシー)を用いた咬合圧検査の手順を示します。これまで、「咬合力」というと特定の部位(たとえば第一大臼歯)での「噛みしめる力」を測ることが主流でしたが、この検査法は上下の歯列全体で噛む力をトータルで評価する方法になります。したがって、義歯装着者の「噛みしめる力」を天然歯列者と同等に評価するうえでは適しています。「噛みしめる力」は咀嚼能力の重要な因子であり、近年では全身のフレイルや生命予後との関連など、口腔機能と全身の健康度との関係をつなぐキーワードの1つとなっています。 この検査は、専用の感圧シート(デンタルプレスケールシート)を最大努力下で噛ませて、咬合した部位の色の変化から力を読み取るという方式のため、噛み方が検査の精度に影響します。そこで、検査の前に一度練習をしてから本番の検査を行います。その際に大事なことは、あくまで「垂直的にしっかり噛む」ということで、「決して歯ぎしりをしない」という注意を被験者に徹底する必要があります。歯ぎしりをすると感圧シートの色の変化が大きくなり、結果として過大な咬合力が得られるからです。なお、このシステムを使うことにより、左右の咬合力のバランスなど、補綴治療において有用な情報を得ることができます。図9a~f デンタルプレスケールⅡを用いた咬合圧検査の手順。a:デンタルプレスケールⅡの包装紙を使ってシートを噛ませる練習。b:デンタルプレスケールⅡのシートを噛ませる。c:シートをホルダーに入れ、スキャナにセットする。d,e:スキャナでデータを読み込み、PCにインストールしたソフトウェアで解析する。f:PC画面上で咬合力に関する形跡結果を確認する。adefbc第1章口腔機能低下症とは173口腔機能低下症の診断に用いられる検査の方法を教えてください<咬合圧検査、舌圧検査、咀嚼能力検査>

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