ビジュアル 臨床補綴・歯周治療のマネジメント
2/8

79.5580.2186.3086.6179.5580.2186.3086.61男性2010年2013年2010年2013年女性健康寿命平均寿命70.4271.1973.629.13年9.02年12.68年12.40年健康寿命とは:日常生活に制限のない期間○2013年の健康寿命は 男性71.19年,女性74.21年○健康寿命は 男性0.78年,女性0.59年延伸 (対2010年)○日常生活に制限のある期限は 男性0.11年,女性0.28年短縮 (対2010年)図2 健康寿命とは日常生活に制限のない期間である(参考文献2より引用改変).*健康日本21(第二次)の目標:平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加(2022度) 日本再興戦略および健康・医療戦略の目標:「2020年まで国民の健康寿命を1歳以上延伸」(2020年)74.21【資料】○平均寿命:厚生労働省「平成22年完全生命表」,厚生労働省「平成25年簡易生命表」より算出.○健康寿命:厚生労働省「平成22/平成25年簡易生命表」,厚生労働省「平成22/平成25年人口動態統計」,厚生労働省「平成22/平成25年国民生活基礎調査」      総務省「平成22/平成25年推計人口」より算出. CHAPTER1 治療フェーズにおける歯科医療のフィロソフィ 歯および口腔内環境を健康に保つことは,単に咀嚼という機能回復だけでなく,全身の健康,QOL(Quality of Life)の向上に大きく貢献する.近年は歯周病と糖尿病,高血圧,心疾患などの全身疾患との関係や咀嚼と脳内血流や,認知症との関係など,口腔と健康の関連についてのさまざまな角度からの研究が行われ,報告されている(P.12の図3). そのようななかで,2017年3月1日,厚生労働省は日本人の平均寿命は男性80.75歳,女性は86.99歳で過去最高を更新したことを発表した(図2)1.しかし,2016年歯科疾患実態調査によると,14歳までの乳歯のう蝕有病者率は減少傾向にあるが,5歳以上で永久歯のう蝕を持つ者のう蝕有病者率は,35〜44歳で99.3%に及び,歯周病の有病者率は40~44歳で44.9%,50~54歳で54.1%となるなど,歯科疾患の有病状況はう蝕,歯周病とともに依然として他の疾患に類を見ないほど高率を示している.また,咀嚼能力に直接的な影響を与える歯の喪失状況についても,50代で61.5%の人が,何本かの歯を喪失している.そして80歳以上では31.3%の人がすべての歯を喪失しているなど,国民の保健上から依然として大きな課題である. う蝕および歯周病などの歯科疾患は,その進行程度によって欠損や機能障害が蓄積し,その結果として,食生活や社会生活などに支障をきたし,ひいては全身の健康状態に影響を与えるものとされている.また,歯および口腔の健康を保つことは,単に食物を咀嚼するという点からだけでなく,食事や会話を楽しむなど,豊かな人生を送るための基礎となる. これら口腔と全身の健康の関係を実証的データとしても明らかにしていくため,1996年より厚生科学研究「口腔保健と全身的な健康状態の関係に関する研究」が実施されており,80歳の高齢者を対象とした統計分析などから,歯の喪失が少なく,よく噛め口腔と全身の健康の関係が明らかに21111

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る