訪問歯科診療プランニングの極意
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訪問の依頼~医療(介護)情報の収集と分析 患者の主訴である義歯不適合は実際に存在したが、食事量の低下が義歯不適合によるものとは考えにくく、摂食嚥下障害による食事時間の延長に加え、むせ込みにより食事中に疲労してしまうことがより強く影響していると思われた。 また、低栄養からサルコペニア用語2を発症し、それによってさらに摂食嚥下機能が低下する悪循環に陥っていることが疑われた(図1)。 ケアマネジャーと連携し、主治医に嚥下機能評価の必要性を伝えたところ了承が得られ、また血液検査所見を確認した(図2)。 初診から約2週間後(2012年6月)に嚥下内視鏡検査を施行した。STEP1検査項目数値白血球数(WBC)6.78×103/uL赤血球数(RBC)436×104/uLヘモグロビン量(Hb)12.8g/dLヘマトクリット値(Ht)38.3%平均赤血球容積(MCV) 87.8fL平均赤血球ヘモグロビン量(MCH) 29.4pg平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC) 33.4%血小板数(PLT)19.4×104/uLプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)3.38総タンパク(T-P)6.7g/dLアルブミン3.7g/dL図2 血液検査所見(主要なもののみ抜粋)LowLowLow図1 低栄養の悪循環低栄養がサルコペニアを引き起こし、摂食嚥下に関連する筋肉も衰え、さらに低栄養が進む悪循環。これを断ち切るには、まず栄養状態の改善が必要と考えた。サルコペニア摂食嚥下機能障害低栄養用語2 サルコペニア加齢や疾患によって生じる、骨格筋量および筋機能の低下(骨格筋力または身体能力の低下)を特徴とする症候群。「診療方針の立案」までの3ステップHigh36訪問歯科診療 プランニングの極意 ―エキスパートたちの実例でみる、摂食嚥下をめぐる諸問題解決の糸口―

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