訪問歯科診療プランニングの極意
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患AA者DT 初診時:66歳性別:男性主訴、依頼内容:「入れ歯が合わず、うまく食べられない」と患者本人が希望。訪問現場:居宅 A 初診時の問題点 初診日2012年6月7日。脳梗塞後遺症のためベッド上生活。上下総義歯(無歯顎)。下顎義歯がやや不適合で、食事中に浮き上がってくるとのこと。最近数ヵ月で徐々に食事量が減少し、それにともなって体重も減少(2012年4月時点で体重64kg、同年7月には54.4kg。4ヵ月間で15%の体重減)。病気になる前は快活な性格だったというが、易疲労性で元気がなく、表情も暗かった。 食事内容は全粥、おかずはキザミもしくはペースト。水分はトロミなしで摂取していた。固形物および液体でときどきむせがある。食事量は5~8割程度。唾液によるむせがあり、つねに喀痰をティッシュペーパーで拭いながら生活している状態であった。 B 既往歴・脳梗塞(2009年3月、2012年5月)・誤嚥性肺炎(2010年7月、2012年6月)・症候性てんかん(2012年5月)・右総腸骨動脈瘤(2009年3月)・腹部大動脈瘤(2009年12月)・深部静脈血栓症(2009年3月)・狭心症(2009年12月) 初診時の状態。脳梗塞を患う前は体格がよく、仲間と酒を飲んで楽しく騒いでいたというが、食事量の低下から体重が低下し、筋力も著しく低下していた。低栄養からサルコペニアが進行し摂食嚥下障害をきたした症例易疲労性で元気がなく、全般的に意欲がみられない。表情も乏しかった。03CASEChapter1適切な評価と多職種連携34訪問歯科診療 プランニングの極意 ―エキスパートたちの実例でみる、摂食嚥下をめぐる諸問題解決の糸口―

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