子どもの口と顎の異常・病変 口の粘膜 編
8/8

121子どもの患者が来たら口のなかの粘膜の異常・病変口のなかの機能の異常・病変全身疾患(感染)による異常・病変3 手足口病菅家康介(三井記念病院歯科口腔外科)西條英人(東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚・運動機能医学講座口腔顎顔面外科学)手足口病3原因原因・疫学・症状手足口病は,手掌・足蹠・口腔内に水疱を生じるウイルス性発疹症であり,コクサッキー(Cox)A-6,A-16,A-10,エンテロウイルス71(EV71)をはじめとするエンテロウイルスにより発症する.咽頭から排出されるウイルスによる飛沫感染,便中に排泄されたウイルスの手指を介する経口感染,水疱内容物からの感染などが考えられている.6〜7月にかけて流行の山がみられるが,最近では秋から冬にかけても発生が続いており,通年性の傾向がある.乳幼児を中心に好発するが,学童期でもみられる.初期症状として発熱と咽頭痛があり,3〜5日の潜伏期をおいて,口腔粘膜,手掌,足蹠や足背などの四肢末端に直径2〜3 mmの紅斑,丘疹および小水疱が出現する(図1~3).掌蹠の水疱は長軸が皮溝,皮丘に一致した楕円形となる.口腔粘膜では小潰瘍を形成し,時に疼痛図1 手足口病の代表例①.口腔粘膜の紅斑.図2 手足口病の代表例②.足の紅斑.図3 手足口病の代表例③.手掌の紅斑.

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る