必ず上達 矯正臨床
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すべての歯を移動できると臨床の幅が広がる1 卒後ある程度,歯科臨床を経験した先生や,開業した先生方は,エンドやペリオなどの基本的な治療から,全顎的な治療をする経験が多くなる時期が必ず来る.その課程で矯正治療を応用したほうがベターな症例に遭遇すると思われるが,まずは1歯の矯正治療,矯正的挺出や,アップライトなどが矯正臨床の入門となるであろう(図1).そしてさらに踏み込んで,フレアーアウトにともなう,歯間空隙の閉鎖や,下顎前歯の叢生の改善など少数歯の移動にチャレンジされる先生もいらっしゃるであろう. その際,この部位の歯のポジションもこうなれば理想的なのだが……というようなケースも当然あると思われる.そう考えると,その範囲にとどまらず,それらと同時に,歯のポジションや歯列弓の改善ができれば,後の補綴もスムーズに行えるだけでなく,患者のセルフプラークコントロールも容易となり,その恩恵は大きい. 簡単な例として,上顎が総義歯で,下顎前歯の叢生の症例を考えてみたい.このような症例の場合,ただ下顎の叢生のみ改善しても,人工歯配列が下顎の歯列をどうしても反映せざるを得なくなり,上顎の義歯の安定に不安が残ることになる. それを改善して,下顎を理想的なアーチに整えることで,上顎の義歯も安定が期待できる(図2). このように,歯列の改善のために,全顎的な移動ができるメリットは大きい.また,簡単な症例であれば,診査を十分に行ったうえで,ブラケットポジションと簡単な本格矯正治療の理論を理解し実行すれば,一般開業医の先生でも全顎的な移動は可能であると考えている(図3).症例を選べば一般開業医でも全顎矯正は可能1MTM全顎矯正一般開業医でも全顎矯正は可能.ただ,知識と技術は不可欠.1010

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