図解!遅延型吸収性膜を用いた 安全安心GBR
2/6

acbd2非吸収性膜vs吸収性コラーゲン膜 GBRによる歯槽堤増大術には,従来,バリア機能やスペースメイキングの確保などにすぐれたチタン強化型e-PTFE膜などの非吸収性膜が利用されることが多く,また,その有効性を支持する研究も数多く報告10~14されていたことから,非吸収性膜はGBRにおいてゴールドスタンダードと考えられてきた. Simionらは重度に骨吸収した下顎臼歯部に対して,骨移植材と非吸収性膜を用いた垂直的歯槽堤増大術を行い,最大8.5mmの骨増大を得ることができたと報告15しており,さらにTintiらも同様の研究を行い,4.95mmの増大を得ることができたと報告16している.また,Simion らは非吸収性膜を用いたGBRにより増大した再生骨の長期的評価について検討し,1~5年経過時の成功率は97.5%,骨頂部の平均吸収量は1.35~1.87mm,インプラント埋入に際して,増大した再生骨は宿主骨と同様の感触であったと報告17している.筆者も非吸収性膜を用いたGBRにより,多くの同等の結果を得ており,非吸収性膜の有効性を実感してきた(図2a~d). しかし,非吸収性膜を応用する際には,歯肉の裂開にともなう膜の露出・感染の危険性がある,術式が煩雑で難易度が高いなど,技術的に注意を要することも事実である.Simionらは非吸収性膜によるGBRは非常にテクニックセンシティブで,専門医が施術しても13~17%の確率で膜露出が生じ,その場合,骨増大に悪影響が及ぶと報告18している(図3a~d). このような非吸収性膜の欠点を補うべく,近年,図2a~d チタン強化型非吸収性膜はバリア機能やスペースメイキングにすぐれ,適切な量・質の骨増大を獲得することができる.■非吸収性膜によるGBR第1章 GBRの変遷 ~非吸収性膜から吸収性膜へ~009図解! 遅延型吸収性膜を用いた安全安心GBR

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る