驚くほど臨床が変わる! こだわりペリオサブノート
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343. 歯周外科処置の目的 Mellonigら3)の報告にもあるように、歯周外科処置を行えばデブライドメントが確実に行える。さらに切除療法の場合、術後プラークコントロールのしやすい環境に整えることが可能である。具体的には、骨外科処置による骨の平坦化、apically positioned ap(APF)による生物学的幅径の再獲得のほか、表2-2-1のような目的がある。歯周外科処置を行ったほうが、非外科的歯周治療よりも7年後のアタッチメントロスが起こりにくかったという報告4)もあるように、デブライドメントを確実に行い、かつ切除療法によって歯周ポケットをなくすことができれば、その後のメインテナンスは非常に安定し、長期的な予後が期待できる(図2-2-5a~g)。 これらのことから、中等度から重度の歯周病においては、歯周外科処置にて確実に病原物質を除去し、かつ術後に清掃しやすい口腔内環境を構築することが重要と考えられる。を用いることでSRPの正確性が高くなり、より深い歯周ポケットでも除去できる可能性はある。 また、Mellonigら2)は、フラップ手術とSRPの効果を歯周病専門医と一般開業医で比較し、歯周ポケットが深くなるほど、非外科的療法でのデブライドメントは不確実になると述べている。さらにこの傾向は複根歯で顕著で、4〜6mmの歯周ポケットにSRPを行った場合、歯周病専門医でも完全に除去できたのは25%以下で、開業医のFOPのほうが有効であったと報告している(図2-2-4)。 このように、非外科的歯周治療では歯周炎の原因であるバクテリアを確実に除去することが難しく、それゆえ治療後のSPTにおいても、再発のリスクが高くなる。これらのことから、4mm以上で活動性(BOP(+))の深いポケットでは、歯周基本治療のみではプラークコントロールしにくい部位が残るため、歯周外科処置の適応と考えられる。表2-2-1 歯周外科処置の目的1.プラーク、歯石の除去2.歯周ポケットの除去、減少3.生理的な骨形態の獲得4.付着歯肉の獲得5.審美性の回復(根面被覆、歯頚線の調整など)6.歯周組織の再生7.生物学的幅径の再獲得図2-2-4 大臼歯の根分岐部病変を示す。この分岐部の内側のconcave形態を非外科的にデブライドメントするのは、ほぼ不可能といえる。非外科、外科の選択のポイントは、デブライドメントがどこまでできるかである。臨床が変わる がポイント!ココ
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