CTと動画が語る サイナスフロアエレベーションの真実
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141自家骨を用いたサイナスリフトの術後感染におけるリカバリー4 自家骨を用いたサイナスリフトに術後感染が生じた場合、自家骨が腐骨化する場合がある。腐骨化した自家骨はタンパク質が変性して非自己となるため、摘出する必要がある。▼患者:41歳、女性 約3ヵ月前に、某病院で腸骨骨髄細片を用いた右側のサイナスリフトを受けた。しかし、術後感染を生じたためマクロライド系抗菌薬を服用していたが、症状が改善せず、当院を紹介され来院した。初診時所見:頭痛、鼻閉感、悪臭をともなう鼻汁および後鼻漏を訴え、右側頬部に圧痛が認められた。図11-a 初診時の口腔内写真。7-4は欠損し、76部頬側に瘻孔がみられ(黒矢印)、腐骨化した骨片が歯槽頂部に認められた(青矢印)。図11-b 同パノラマX線写真。右側上顎洞は下方に発達し、歯槽骨の骨高径は少ないと考えられた。図11-c 同近遠心断CT画像。上顎洞粘膜が著明に腫脹し、複数のX線不透過物が認められた。図11-d 同6部頬舌断CT画像。ウィンドウ部に骨欠損が認められた(矢印)。図11-e 腸骨骨髄細片と骨片に癒着した浮腫状の上顎洞粘膜を摘出した。ビデオ4 ウィンドウ部から上顎洞内にアプローチし、二次的に感染源となった腸骨骨髄細片と骨片に癒着した浮腫状の上顎洞粘膜を摘出した。生理食塩液で上顎洞内を洗浄し、ガーゼを用いて圧迫止血を行い、ペンローズドレーンを設置して創を閉鎖した。図11-f 浮腫状の上顎洞粘膜(左)と腸骨骨髄細片(右)の摘出物写真。図11-g 上顎洞粘膜の病理組織写真(H.E. 染色)。多列線毛円柱上皮は扁平上皮化生を生じていた。また、固有層に毛細血管の増生と著明な炎症性細胞の浸潤が認められた。図11-h 腸骨骨髄細片の病理組織写真(H.E. 染色)。骨組織の核は染色されず腐骨と考えられ、周囲には著明な炎症性細胞の浸潤が認められた。

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