CTと動画が語る サイナスフロアエレベーションの真実
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0631 どこにウィンドウを作製するか?図2-a 縦切開を3遠心部に入れ、フラップを挙上。654部の上顎洞前壁に骨切りを行い、トラップドアを作製した。図2-b 上顎洞粘膜骨膜を剥離・挙上し、β-TCP顆粒を填入した。図2-c 術直後の近遠心断CT画像。サイナスリフト部に顆粒状のX線不透過像が認められた。▼患者:52歳、女性 567欠損のインプラント治療のため、サイナスリフトを予定した。パノラマX線写真のみの診断では、ウィンドウを67部に設置しがちである(図3-a)。しかし、近遠心断CT画像では、上顎洞の前方は4部にまで及び、5部には小さな隔壁が存在し、上顎洞底は隔壁の後方で急激に下降してい図3-a 術前のパノラマX線写真。サイナスリフトを行う場合、67部(黄線部)にウィンドウを作製しがちである。図3-b 術前の近遠心断CT画像。黄線部にウィンドウを作製した場合、5部隔壁の前方まで上顎洞粘膜骨膜を剥離することは困難である。た。したがって、上顎洞粘膜骨膜を十分に挙上するためには、5部に存在する隔壁の前方まで粘膜骨膜を剥離する必要がある。したがって、67部にウィンドウを作製した場合、5部隔壁の前方まで上顎洞粘膜骨膜を剥離することは困難と考えられた(図3-b)。 術前のイメージトレーニングにおいて、石膏模型を活用する。診断時のCTデータを石膏模型に印記し、上顎洞底のラインをイメージすると、適切なウィンドウの位置を決定しやすい(図5-a)。ワンポイントアドバイス     術前にウィンドウの位置を検討しなければ、フラップのデザインも決まらない。本症例で5部に縦切開を入れた場合、ウィンドウを前方に拡大できず、前方部で上顎洞粘膜骨膜の剥離が不十分になる可能性があった。POINT

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