CTと動画が語る サイナスフロアエレベーションの真実
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011上顎洞粘膜は線毛運動によって上顎洞内の異物を鼻腔に排泄している4 空気中には細菌、ウィルスおよび埃などの異物が浮遊しているため、鼻呼吸によって上顎洞内に異物が入り込む。一方、自然口の位置は上顎洞の上方に位置しているため、上顎洞は内部に異物が蓄積しやすい環境にあると考えられる(図4-a)。一方、上顎洞は上顎洞粘膜で覆われ、粘膜の表面には粘液が存在し、湿潤した状態になっている(図4-b)。 上顎洞粘液貯留嚢胞を摘出した患者において、上顎洞前壁の骨とともに上顎洞粘膜を採取し、脱灰標本を作製した。上顎洞粘膜は多列線毛円柱上皮、杯細胞および粘膜固有層で構成され、前壁の骨表面には骨膜が存在していた(図4-c、d)。 また、別症例では、粘膜固有層に固有腺が認められ、導管が多列線毛円柱上皮部に開口していた(図4-e、f)。したがって、杯細胞と粘膜固有腺で産生された粘液によって、多列線毛円柱上皮は湿潤した状態に保たれていると考えられた。図4-a 6部頬舌断CT画像。自然口は上顎洞の上方に位置しているため、空気中の異物は重力によって上顎洞内に蓄積する。自然口図4-b aの赤矢印から見た、ファイバースコープ画像。上顎洞内は湿潤した上顎洞粘膜で覆われ、自然口が確認された。上顎洞粘膜自然口図4-c 上顎洞前壁の骨と上顎洞粘膜の脱灰標本(H.E.染色)。上顎洞粘膜は、多列線毛円柱上皮、杯細胞および粘膜固有層で構成され、上顎洞前壁の骨表面には骨膜が存在していた。多列線毛円柱上皮固有層骨膜上顎洞前壁の骨杯細胞図4-d cの拡大写真。杯細胞には粘液が貯留し、粘膜固有層にはすう疎な結合組織が認められた。多列線毛円柱上皮杯細胞固有層骨膜

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