決定版 歯科医院のための感染対策 ヨーロッパ基準のインフェクションコントロール
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Chapter1 日本規格のインフェクションコントロール歯科医院では個人防護具を徹底するには限界がある! 洗浄とは、汚染器材から有機物質や汚染物質を物理的に除去することです。そのなかで、手洗い洗浄(用手洗浄)は、洗浄剤を塗布したブラシやスポンジを用いたブラッシングで除去する方法です。このとき、作業従事者は血液や唾液の飛散や微生物による曝露のリスクに冒されます。 日本の院内感染対策の成書などを概観すると、器材洗浄時にも44個人防護具(PPE)の着用義務を主張しています。つまり、作業従事者は、キャップ・ゴーグル・マスク・ゴム手袋・エプロン・長靴を着用した完全防備でなければならないとしているのです(図13)。 しかし、歯科医院では、病院のように中材(中央材料室)に作業従事者が常駐しているわけではありません。スタッフ全員で代わる代わる用手洗浄しているためPPEを着脱しているヒマがありません。グローブの上から厚手のゴム手袋を着用する程度が現状ではないでしょうか。これでは、感染のリスクが高く、院内感染対策は不十分であると言わざるを得ません。10ルーティンワークの手洗い洗浄器具の洗浄は手洗いがあたりまえでしょ!だから、個人防護具を必ず着用しなければならないの!図13 手洗い洗浄時に着用しなければならないPPE日本では、手洗い洗浄時にキャップ・ゴーグル・マスク・ゴム手袋・エプロン・長靴といったPPEをすべて着用しなければならないと強調されています。しかし、ヨーロッパのデンタルクリニックでこのようなスタイルのスタッフは1人もいません。PPEの装着を迫られるような手洗い洗浄こそ、止めるべきではないでしょうか。28

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