エンドに必要なアナトミー 根管の構造と機能に基づく実践歯内治療
3/6

〈手用リーマーとKファイルの上下運動の重要性〉 根管の拡大形成(cleaning and shaping)の目的は,無菌的環境下で炎症歯髄組織の全摘出(pulp extirpation),あるいは壊死歯髄組織片の除去(debridement)を行い,根管壁の感染歯質などを手用器具などで機械的化学的に清掃拡大し,根管充填材で閉鎖するための根管壁と根尖の形態を整えることにある(図1).その成否は治療の経過や予後成績にも関係する. ここ20年間根管の拡大形成時に用いる器材の開発も進み,多くの術式も発表されている.その基本となるのはstandardized techniqueであり,Ingleによって提唱された手用リーマー・ファイルの国際標準規格(ISO規格)化(図2,3,表1)は,根管治療の能率化,システム化に大いに役立っており,予後成績も飛躍的に向上させている. 他の根管拡大形成法としては,step-back techniqueは根尖1/3を少なくともNo.25か30の器具で拡大し,順に太い器具で歯頸側に向かって1mmくらいずつ短めに形成する.一方,crown-down techniqueは,根管口からゲーツグリデンドリルあるいはNi-Ti器具ではじめ根尖方向へ分割的に拡大形成する.さらにロータリーNi-Tiファイルによる方法などが登場し,一部の臨床家において利用されている.抜髄・感染根管における狭小湾曲根管の拡大形成POINT9144

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る