歯科医療コミュニケーション
2/6

受容・共感的態度は絶対的な基礎医療面接における技法は、一般的なカウンセリングにおける技法と似た階層構造となっています(図5)3。医療面接における重要性は第1層から順に大きくなりますが、いかに高度な傾聴テクニック(第2層)が使えても、ベースに2者間の良好な関係(第1層)がなければ、患者さんはうまく本当の問題について話してくれません。そうすると、第2層で行う医療情報の抽出が不十分となる可能性が高くなります。また、どんなに患者さんの動機づけや説明のスキルをもっていても、十分で適切な医療情報に基づいていなければ、有効な医療が行えるとはいえません。 ラポールの強化にも心を配ろう第1層「基本的かかわり行動」や第2層「基本的傾聴の連鎖」で、ラポールの基礎が形成されます。それを強化するには、臨床能力(知識・技術・態度)が力を発揮する第3層「積極技法」が必要です。医療面接では、医療情報や治療に対する患者さんの希望などの情報を十分に収集することで、的確な診断やより患者さんに適した治療計画の立案が可能になります。治療にともなう苦痛や結果の限界についても、患者さんに伝えることができます。また医療面接全般を通して医療者‐患者間のラポールを強化することで、治療結果にかかわらず患者さんが満足しやすくなります。図5  医療面接技法の階層構造。(参考文献3より引用改変)第1~3層のすべての技法が修得されることにより、第4層にある「技法の統合」が可能となる。医療面接の技法を身につけよう有効で良質な医療情報を抽出する ▼28ページ患者さんに医療者から情報を提供したり、教育したりする積極的なはたらきかけを行う ▼32ページ第1層の技法群基本的かかわり行動(受容的・共感的な基本的態度)第2層の技法群基本的傾聴の連鎖(導入・質問・傾聴・共感表現・要約など)第3層の技法群積極技法(指示・説明・自己開示など)良好な医療者と患者さんとの関係をつくり出す ▼26ページ技法の統合2|「医療コミュニケーション」を理解しよう25

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る