インプラント武者修行
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49第二章 私の幼少期〜大学院時代そこで、兄が二階から階段を走り降りてきて、「ゆきひさ! いた!!!」お袋さんは、「どこにいた!!?」「寝てた!!!」「え!!?」皆で二階に走り上がり、子供部屋に入ると、大きなイビキが鳴り響いていました。「ゆきひさ! いい加減にしなさい!!」私が目を覚ますと、二段ベットの手すりの隙間から、大きな大きなお袋さんの顔が睨みつけていました。「あっ、ちょっとだけ、、寝ちゃった。」 とまあ、このように書くと、私のお袋さんがただの怖い人みたいに映りますけど、お袋さんのことは照れで素直に書けないわけですね。小さな頃、二言目にいつもお袋さんから言われていたことは、「ゆきひさ、一にも二にも感謝! 聞いてるの!!」「わかった。感謝、感謝!!」「感謝は一回でいい!」「わかった、わかった!」「わかったも一回でいい!!」「わかった、わかった、わかったって!!!」というのが次男気質なわけです。そして、いつも事後報告の性格も次男気質で、というか単に私の性格なのかもしれませんが、何事も自分で決めたことを阻止される前に全てやりきってしまって、「お袋さん、おれ、こうしたよ」何でも把握したいお袋さんの性格からすれば、いつも歯ぎしりする思いで。「何でそういう大切なことを事前に相談しないの!」と言われると決まって、「だって、言ったら反対したでしょ。」と言う何とも可愛げのなさ。こんな可愛げのなさは大学院に行くくらいまで続いていましたかね。「お袋さん、おれ、大学院行くことになったよ。」「えっ! 何でそういう大切なことを事前に相談しないの!!」「だって、言ったら反対したでしょ。」今はお袋さんも七八歳。私も少しは大人になったらしく、少々、お袋さんをいたわれるようになりました。

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