生体に優しい総義歯製作法
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咬合採得1534.正中の設定 正中を設定する.人間の顔面はシンメトリーではない.特に総義歯患者の顔面は,習慣性咀嚼側と平衡側での違いや偏位により,顔や口唇が左右対称でないことが多い.そのため,妥当な正中を顔や口腔の多くの情報から総合的に探る必要がある(Fig 14~16). 正中に影響する因子として,先天性因子に加え口腔周囲筋や顎位,ワックスリムの形態などがある.改善された顎位やフレンジテクニック等を総合的に勘案して正中を決定する.仮床試適などの過程でも修正が必要となる場合がある.正中の設定の解剖学的な参考基準①眉間の中心②鼻の頂③上唇の中央の窪み④オトガイ中央⑤上唇小帯 Fig 14 正中を設定するための解剖学的な参考基準.Fig 15a~c 正中線を引く場合,おもりの付いた紐(a)を顔中央に垂らして正中を探る(b,c).Fig 15d 正中を記録する際は患者の視線に術者が合わせる.医院の環境上,患者正面に立ったつもりでも,真正面に立てないことがある.そのような場合はユニットから椅子に座り直し,真正面から正中を印記する.Fig 15e 正中の設定.Fig 15f,g 正中と上唇小帯からの垂線を比較し,その後,術者が患者の左右に移動し,患者の左右斜めから正中の妥当性を検討の上,設定する.7-図14b7-図14d正中の設定abcdfeg患者術者

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