生体に優しい総義歯製作法
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CHAPTER5074メーカー推奨混水比混水比20%増Fig 18 メーカー推奨混水比で採得された上顎アルジネート印象体.Fig 19 混水比20%増の上顎アルジネート印象体(Fig 18とFig 19は同一患者でない).利点・印象材練和時に一塊になり扱いやすい.・ トレー辺縁と歯肉歯槽粘膜境に大きな隙間があってもアルジネートの弾力にて印象採得が可能.限界・ 粘膜全体が加圧されるため粘膜に変位が起こり基礎維持は得られない.・ 本来,加圧してはならない辺縁にもパスカルの原理で印象材の圧が伝わるため,小帯が不明瞭で辺縁全周に丸みができる.歯肉歯槽粘膜境も不明瞭となる.両者に共通した注意点・粘弾性や硬化時間は,粉・水の温度や挿入量に影響する.・ 口腔内で十分硬化させ撤去するため適切な硬化時間を待機する.アルジネート印象材は粘膜面から硬化が始まるが,全体が硬化することを確かめてから印象を撤去する.・ トレー撤去時は,柄を持つと永久歪みの原因となるため,可動粘膜を軽く動かすか印象体と粘膜の間に弱風を入れ撤去する.・100%相対湿度の保湿箱にて最短時間保管する.・口腔内より印象撤去後は,長時間放置するといかなる保存法でも永久歪みの原因となる.・歪みは目視下ではわからない.利点・無圧的印象採得で基礎維持が得られる.・ 粘膜の加圧が最小のため,粘膜の状態,小帯の形態等が正確に採得される.限界・扱いが難しく,慣れが必要である.・ アルジネート印象材が軟らかく圧がかからないため,口腔周囲筋や舌の影響で,印象が辺縁不足となりやすい.・気泡が入りやすい.・ 咽頭部に流れやすいため,咽頭反射の弱い高齢者には注意が必要である.・ 印象体が軟らかいため撤去時など扱い方次第で変形のリスクが高くなる.アルジネート印象で混水比を変えることの利点と限界

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