結論:3Dプリントされたコンポジットレジンクラウンは、さまざまな材料の厚さで高い耐破壊性を示し、良好な歯科保存治療法として提案できる。 デジタル歯科の継続的な発展、主に歯科材料へのCAD/CAM技術の適用により、歯冠修復装置の製作効率と精度が向上した。また、時間と労力を節約し、さまざまな作業ステップから生じる人的および技術的なエラーから引き起こされる従来のワークフローにありがちなミスが減少した1。チェアサイドおよび技工室でのCAD/CAM技術による間接修復装置として、セラミックおよび複合(コンポジット)材料が用いられてきた2、3。CAD/CAM用セラミックスは、優れた審美性、生体適合性、および強度2、4、5などの利点を有するが、それらの剛性、硬さ、および脆性は、口腔内での補修の難しさから、主要な欠点と見なされる6。歯冠修復に用いられるサブトラクティブ法(ミリング)によって製作されるCAD/CAM用コンポジット材料は、安定剤、開始剤、および色素を有するセラミックベースのフィラーを含んだ無機マトリックスで構成されている3。 CAD/CAM用コンポジット材料は、工業的に製造されたブロックとして市場で入手できる3。それらは、直接修復用コンポジットレジン材料と比較して、優れた機械的特性と低い重合収縮を示している7-14。いくつかの研究では、CAD/CAMコンポジットクラウンは咬合力に耐えうる十分な強度を有することが報告されており3、15、16、壊滅的な欠陥が少なく、製作中の破折やひび割れも少ない17。そして、より簡単に補修できる18。 三次元(3D)プリントは、ポリマー、金属、および最近ではコンポジットレジンなどのさまざまな材料を使用して、複雑な形態のラピッドプロトタイピングに使用される積層造形技術である19-21。Zimmermannらは、3Dプリントされたコンポジットクラウンの耐破壊性が1.5mmの厚さのミリングされたコンポジットクラウンと同等の耐破壊性(それぞれ1,478.7±168.2Nおよび1,580.4±521.0N)を示したことを報告している3。両方のCAD/CAM用コンポジット材料は、セラミック材料と比較して歯冠修復の厚さを最小限にできる利点を有する。コンポジット材料の硬さと剛性が低いため、対合歯のエナメル質は臨床的に摩耗が少ない。加えて、それらは簡単に製作および修理が可能であり、脆性が低いので、製作中の破折や亀裂の発生が少なくなる。それらはまた、より優れた辺縁適合性を示す3、6。 一方で、現在の臨床的アプローチは主に、歯質を保存し、歯の失活リスクを減らし、良好な審美的結果を提供する低侵襲の歯科治療にシフトしている22。陶材焼付鋳造冠やオールセラミッククラウンでは、咬合面と軸面に対して1~2mmの削合を特徴とする従来の支台歯形成が必要であるが、その他の、全部鋳造冠、小児クラウン、ベニアなどでは、より歯質を保存できる支台歯形成で治療できる23。これらの状況では、1~2mmの従来の削合は、不必要な余分な削合につながり、無傷の歯質を危険にさらす。反対に、薄い修復装置は審美的なオプションであるとともに、エナメル質の保存を促進するので接着がより確実になる24。ただし、これらの薄い修復装置の抵抗性、安定性、寿命、および強度は、この最小限の支台歯形成デザインの選択によって損なわれる可能性があることに注意しなければならない25。3Dプリントされたコンポジットクラウンの機械的特性に関する情報はまだ不足している3、26、27が、それらは低侵襲を目指す歯科治療における興味深いオプションである。 したがって本研究の目的は、異なる材料の厚さを関数として、3Dプリントされたコンポジットレジンクラウンとミリングされたコンポジットレジンクラウンの耐破壊性および破折パターンを評価することとした。帰無仮説は、「異なる厚さで製作された2つのグループの耐破壊性と破折パターンに有意差はない」とした。29緒言材料と方法3Dプリントされたコンポジットレジンクラウンの耐破壊性と破折パターンに及ぼす材料の厚さの影響サンプル準備 上顎臼歯のタイポドント歯(PRO 2001;Nisshin,Kyoto,Japan)を用いて、3種類の異なる厚さ(0.5mm、1.0mm、および1.5mm)の全部被覆冠を装着できるように支台歯形成を行った。1人の経験豊富な補綴歯科医(KC)が、それぞれの厚さにしたがって、サベイヤーを用いて注水下で高速エアタービンにより、対応するシャンファーマージンラインを設定した。支台歯形成中に均一性と深さを確認するために、未形成歯のシリ
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