顎変形症治療の基礎知識
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12. 4. 1 下顎前歯部歯槽骨切り術①適応症FIG 19 垂直部骨切り.FIG 22 固定した例.FIG 24 骨切り線.*顎矯正手術エッセンシャル(クインテッセンス出版)より引用FIG 20 水平部骨切り(左:内側面,右:外側面)FIG 23 後方移動(左),前方移動(右)の概念図.FIG 21 分割.骨移植材両側の第一小臼歯(まれに第二小臼歯)を抜去して同部の歯槽骨を削除し,下顎前歯部根尖下方で水平骨切りして両側の抜歯部と連続させ,前歯と歯槽骨を一塊として後方に移動させる手術である(FIG 24,25).骨切り後の前歯部歯槽骨片は,舌側の歯肉,口底部軟組織から血液供給を受けるので,骨片に付着する舌側の軟組織を愛護的に扱い,損傷を可及的に小さくすることが重要である.臼歯部の咬合に問題のない下顎前歯部の歯槽性の前突症,開咬症である.本法が下顎単独で行われることは少なく,上下顎前突症に対して上顎前歯部歯槽骨切り術と併用して行われることが多い.顔貌と咬合の診察,検査,側面セファロ写真,石膏模型などにより,本術式で望ましい顔貌と咬合とが得られるかどうかを検討する.②合併症合併症として,一過性のオトガイ神経知覚鈍麻,歯根の損傷,骨癒合不全(前歯部骨片の位置が悪く,前歯部に早期接触がある場合),骨片や歯肉の創治癒遷延,骨片の壊死(舌側軟組織の損傷による血流不全の場合),抜歯部歯肉の頬舌的陥凹(抜歯部に大きな骨片間のスペースが残った場合),水平骨切り部舌側の軟組織損傷による術中・術後出血などが挙げられる.③術前準備抜歯の部位,骨片移動量,術後の咬合などについて検討し,術後予想模型やオクルーザルスプリントを作製する.12. 4 下顎のsegmental osteotomy52

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