PART 2 診察・検査・診断・治療計画作成FIG 11 正面セファログラムの計測点.FIG 12 正貌における仮想顔面正中線の設定.LoNcMxANSMoGoU1L1MeLo'Mx'Mo'Go'オトガイ棘仮想顔面正中線上顎歯列正中線下顎歯列正中線とくに顔面の左右非対称をともなう顎変形症の治療の場合には,側面セファログラムだけでは十分な情報を得ることができないため,正面セファログラムが利用されている.主に左右対称性の評価に用いられ,上顎骨や下顎骨,上下顎歯列の左右対称性について評価を行う.以下に,代表的な計測点,基準平面と計測項目を示す(FIG 11).7. 7. 1 計測点①Lo(latero-orbitale):眼窩縁と眼窩部の斜線(the oblique orbital line,エックス線写真上の線)との交点②Nc(cristagalli;鶏冠):鶏冠頚部のもっとも狭窄している部位交点の外側部⑤ANS:前鼻棘⑥Me:下顎骨オトガイ部の外形線上の正中点.オトガイ隆起の直下の点外科的矯正治療における重要な治療目標の1つに上下顎歯列正中と顔面正中との一致が挙げられる.歯列正中の位置は美的不調和改善の面で重要な項目であり,患者が主訴とする場合も少なくない.臨床的には左右内眼角点あるいは瞳孔間の垂直二等分線を仮想顔面正中線として用いる(FIG 12).しかし,硬・軟組織との間にズレがあり,両者の正中線が合致しない症例も少なくない.したがって,正貌における正中の評価については,硬・軟組織形態を総合的に評価することが必要である.最終的には矯正歯科医と外科医が相談のうえで,患者の同意を得て顔面の正中を決定し,外科的矯正治療の目標とする.7. 7. 3 計測項目①上顎骨の偏位に関する計測:正中線から左右の点Mxまでのそれぞれの距離の差.また,正中線とANSとの距離.上顎骨の左右対称性の評価を行う.7. 7 正面セファログラム分析法7. 8 軟組織正貌の分析(軟組織正中の決定)25③Mx(maxillare):上顎歯槽基底部外側点④Mo(molar):最外側部にある上下顎大臼歯の影像の⑦Go:下顎角最外側点⑧U1:左右上顎中切歯の中点⑨L1:左右下顎中切歯の中点7. 7. 2 基準平面①Lo-Lo’平面:左右の点Loを結んだ直線②正中線:Lo-Lo’平面に対してNcを通る垂線②下顎骨の偏位に関する計測:正中線から左右の点Goまでのそれぞれの距離の差.また,正中線とMeとの距離.下顎骨の左右対称性の評価を行う.③上顎歯列の偏位に関する計測:正中線と上顎歯列正中線との距離.上顎歯列正中の正中線からの偏位の評価を行う.④下顎歯列の偏位に関する計測:正中線と下顎歯列正中線との距離.下顎歯列正中の正中線からの偏位の評価を行う.⑤咬合平面の傾斜に関する計測:Lo-Lo’平面から左右の点Moまでのそれぞれの垂直的距離の差.咬合平面の左右的傾斜(cant)の評価を行う.
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