咬合の岳をゆく
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術者本位の咬合ルート咬合の道標4 岳の頂上を目指して! 患者本位の咬合をたどって 「よい咬合」という岳を登頂するためには,“患者本位”の山岳ルートを選択しなければならない.その“患者本位”の山岳ルートのためには,“患者本位”の登山口を選別しなければならない.麓である術前からでは,術後となる頂上や術中となる登山口や山岳ルートが見えず,計画性のない登山すなわち「術者本位の咬合」となり,遭難する確率が高くなると言えよう.また,場当たり的に登頂を始めると滑落することは火を見るより明らかであろう. 「術者本位の咬合」というルートを探していくうえで,麓である術前の段階での打ち合わせと,それにともなう装備を準備することは疑う余地がない.したがって,「患者本位の咬合」に登頂するためのルートマップやコンパス,さらには山頂を見失わないようにするための双眼鏡など,その岳々に見合った装備を準備して山岳ルートの入念な打ち合わせの後に登山を開始しなければならない. それゆえに,「患者本位の咬合」に登頂するためのルートマップは,咬合の岳に登頂するに欠かせない必需品である.そのアプローチにおいてもっとも大切なのは,現在の口腔内や顎口腔系での問題点(プロブレムリスト)を的確に探し出すことと,その問題点の原因を正確に探ることにある.このステップこそが,「術者本位の咬合」というルートを探していく“はじめの一歩”なのである. 問題点の原因を的確に探し出したことで,その原因を取り除く,あるいは原因に対処する手段や方法を考量しやすくなり,そのプロセスのなかに咬合治療や補綴歯科治療の必要性を問えば,補綴診断や治療計画(クリニカルパス)へとつながっていく.適切な咬合治療や補綴歯科治療によって口腔内の形態や機能と顎口腔系の機能が正常化,健全化していく.このアプローチこそが,「術者本位の咬合」という山岳ルートを辿っていくアプローチなのである. 「よい咬合」という岳を登頂するために,「患者本位の咬合」に登頂するためのルートマップに基づいたプロセスを実直に取り組むことが大切であろう.61患者本位の咬合ルート2アプローチとプロセス頂上に着くだろ!とにかく上に行けば急げ急げ!あわてるな!ルートマップとコンパスを持つんだ!

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