SAFE Troubleshooting Guide Volume 3 外科的合併症編
8/8

5-1 広範囲の上顎洞粘膜裂開 ① 即日対応症例2対処および解決方法(メソッド・シューティング)図2-a 3本の6-0ナイロン糸にて牽引固定を行うも完全な裂開部の閉鎖ができなかったため、骨補填材料を用いないsinus lift without graft material と同時にインプラント埋入を行った。るいは2.の処理法で対処できない症例:サイナスリフト部の天井を自家ブロック骨にて再建。 本症例においては粘膜裂開の大きさが直径約25mmであったため、裂開部内側粘膜を6-0ナイロン糸によって骨窓上縁部に牽引固定を行った。1糸では不十分であったので、3糸行ったところ、上顎洞粘膜が十分に挙上された(図2-a)。しかし2mm程度の小さな穿孔が点在していたことから、あえて骨補填材料を填入せず、sinus lift without graft materialとした。インプラント埋入後にサイナスリフト部に静脈血の凝血塊を填入し、骨窓を戻して創を閉鎖した(図2-b、c)。トラブルの対処および解決方法 上顎洞粘膜裂開の処理法には諸説あるが、裂開が大きくなればなるほどコラーゲン膜によるパッチ法では確実性が低くなることから、筆者は下記の3つの処理法を用い、良好な結果を得ている。1. 上顎洞粘膜裂開の大きさが直径5mm未満の症例:穿孔部にパッチを貼る(コラーゲン膜、サージセル)。2. 上顎洞粘膜裂開の大きさが直径5mm以上の症例:6-0ナイロン糸で裂開部内側粘膜を骨窓上縁部に牽引固定。3. 上顎洞粘膜裂開の大きさが直径30mm以上、あ図2-c 術直後のパノラマX線写真。図2-b 凝血塊の填入後、骨窓を戻した。119SAFE(Sharing All Failed Experiences) Troubleshooting Guide Volume3 外科的合併症編

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る