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34図11a 12歳の女児,6に臨床症状はない.冷刺激による温度診に反応した.図11b デンタルエックス線写真において,歯髄腔に近接する透過像を認める.露髄の扱い方には,「直接覆髄」と「断髄」の2つの術式がある.直接覆髄は,露髄面にそのまま覆髄材を貼付する方法であり,断髄は,エアタービンを用いて,注水下で歯髄を一部切断する方法である(図10).これらの方法を比較したランダム化比較試験が1つあるが,歯髄保存の成功率に統計学的有意差はなく11,どちらの方法がよいかは明確でない.基本的に,歯髄壊死は歯冠側から根尖側に徐々に進行していくため,残存させる歯髄の上端が根尖側に近いほど(=根尖近くまで断髄するほど),壊死した歯髄を残してしまうリスクは低くなる.また,そのほうが歯髄と外界との距離が大きくなり,マイクロリーケージを防ぐための十分な接着面積を確保できることになる.筆者は,歯髄壊死の範囲と,十分な接着面積の確保のもとにマイクロリーケージの防御が可能かどうかに注意を払い,マイクロスコープを用いた強拡大視野下で,歯髄の状態を確認しながら処置方針を決定している.大まかには,径が1mm以下の小さな露髄で健全歯髄が確認できる場合は,直接覆髄を行う.露髄径が1〜2mmの場合,前歯では約2mmの浅い断髄,小臼歯では歯頸部断髄,大臼歯では直接覆髄を行う.2mmを超える露髄面(歯髄)を触らずに覆髄材の貼付を行う高速エアタービンに装着したダイヤモンドバーで露髄面から一定の深さまで歯髄を切断後、覆髄材の貼付を行う直接覆髄断髄3図10図10a, b 直接覆髄と断髄.直接覆髄は露髄面を触らないのに対し,断髄は,エアタービンに装着したダイヤモンドバーを用いて,注水下で露髄面から一定の深さまで歯髄を切断する.大きな露髄の場合は,前歯,小臼歯,大臼歯ともに歯頸部断髄を行う(図11a~m).直接覆髄を行った後,咬合痛が生じたため,歯頸部断髄を行った症例ababCHAPTER 3 直接覆髄直接覆髄か断髄か3-2

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