臨床家のための矯正 YEARBOOK 2017
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6歳8か月  ₁₁に少し歯石がついていた.夜寝ているときに口唇が開いていることが考えられる.普段からしっかり閉じるように指導した.上下の叢生・開咬が増悪してきている.もう少し経ったら【口唇に力がついてから精密検査】をする予定.筋機能訓練続行および舌の挙上,口輪筋,オトガイ筋,小帯の変化を確認する. 再度【生活習慣,とくに食習慣の改善】を行いながら訓練を進める. 嚥下時の舌の前方突出が強く前歯が前傾し,開咬になる可能性が大きいため,姿勢と食習慣の改善を指示し,筋機能訓練を教え直した.8歳8か月【開咬の後戻り】がみられる 姿勢は直していたが,筋機能訓練はしていなかった.食習慣や姿勢に問題があると思われるが,母親が一緒に来院していないため,手紙を書いて渡した.本人には今一番大事なこととして【詰め込み過ぎの食事の仕方と体を起こす動作の改善】をするようにお話した.7歳3か月 口もとが悪くなっている.オトガイ筋が強い.トレーニングをやっていない.姿勢,食べ方に注意してもらう.【矯正考え中なので,決まり次第連絡をもらう】.かみ合わせは,永久歯が全部生え揃うまで生活習慣や筋機能を改善しながら様子をみる.それまでは姿勢を直し,トレーニングを行い,舌癖の除去,口唇のバランスをとるように努力する.8歳4か月【食習慣の乱れによる筋機能に問題あり】 オトガイ筋に強い緊張がみられ,口唇に力がない.口角の締まりがなく,への字口になっている.舌位後退と前傾姿勢が多くなり,上顎前歯の前方突出と叢生の悪化が著明となっている.  生活習慣における,筋機能の不安定を残したままで,精密検査を行っても,成長期の不正を改善するための正確な判断ができない.顎筋機能の改善(訓練時の正しい姿勢を毎回確認しながら本格的な訓練を3~6か月行い精密検査開始の日程を決める)▲6歳8か月▲8歳4か月▲8歳8か月▲7歳3か月047臨床家のための矯正YEARBOOK 2017乳歯列期から始めた成長期の開咬症例

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