筒井式フローチャートで症例の難易度がわかるスプリントに強くなろう!
1/6

3 2015年秋,『包括歯科臨床Ⅱ 顎口腔機能の診断と回復』(以下,『包括Ⅱ』と略)を出版させていただいた.難しいタイトルにはなっているが,「力=機能」なので,言い換えれば「力の診断とそのコントロール」と同じである.歯科臨床は「炎症と力のコントロール」で大半まかなえるから,要は感染症以外はすべて「力のコントロール」と言える.態癖,安静位空隙の確保,MFT,DCS,TCH,ブラキシズム,顎口腔機能障害(顎関節症,舌痛症,etc…),顎位の偏位,歯列の変形,それらを元に戻す形態再付与(リシェイピング),スプリント療法,修復的歯牙移動,修復処置(咬合面形態,クラウンブリッジ,義歯,インプラント)に至るまで.もちろん,力の負担による炎症の急発など関連はしているが,考えれば「力(咬合)のコントロール」である. 歯は使っているので使い減りするし,加齢現象や良くない生活習慣も加わり,いつか壊れていく.しかし,壊れていくサインを早め早めに見つけ,患者さんの「良くない力」を個々人に あった「良い力」に変え,永続性をもって,良く噛め,長持ちさせることがわれわれ歯科医療従事者に問われている仕事である. 力のコントロールの手段の1つとしてのスプリントを他の手札のなかにいかに絡めていくか.筆者らは大きく「診断用スプリント」と「治療用スプリント」に分けている.スプリントは咬合治療のなかで,基本治療としてなくてはならない大きな手札である. 本書は『包括Ⅱ』の中の10章,「元に戻すスプリント療法」を詳細に書いたマニュアル本として出版させていただきたい.大きな範疇で考えると,スプリント療法は生理学的咬合の臨床応用に入るので,なじみの薄い言葉やオリジナルな単語などは解説を入れているが,全体的な理論背景は『包括Ⅱ』を参考にしていただきたい.2017年8月吉日筒井照子力のコントロールとしてのスプリント療法緒論

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る