外来・訪問診療のためのデンタル・メディカルの接点
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93CHAPTER 10 [口腔の機能低下を止めるには②]図6 舌の動きが悪く、ふたたび咬合面に食塊をのせることができない。義歯の舌側/舌上・口蓋部に食塊が残留したら 咀嚼後に歯や義歯の舌側に食塊が貯留した場合、義歯の舌側床研摩面の形態不良、人工歯が頬側過ぎる、また、舌の機能の問題が考えられる(図6)。 また、舌上や口蓋部に食塊残留を認める場合には、舌圧の低下や舌の運動範囲の制限が疑われる。舌の筋力は舌圧計で確認する3(図7)。30kPa未満である場合、低舌圧と考えられる。舌のトレーニング 低舌圧が認められた場合、舌圧向上のためのトレーニングを行う。トレーニングには、専用のトレーニング用具を用いる(図8)。運動範囲の拡大には、舌を大きく突出させて、上下左右に動かすトレーニングを行う。 口蓋部の床を厚くして、舌接触補助床(PAP)とすることも有効である(図9)。トレーニング中やトレーニングだけでは効果が不十分な場合に用いるとよい。義歯の舌側に食塊が残留した場合①|舌のトレーニング図7a 舌圧計(JMS社)。図7b プローブ先端のバルーンを口蓋と舌の間にはさみ、ゆっくりと、最大の力で押し潰す。図8a 舌運動のトレーニング器具「ペコぱんだ」(JMS)。トレーニングに必要な力の強弱によって使い分ける。図8b ハンドル部を軽く前歯で咬んで保持しながら、ドーム状のトレーニング部を口蓋と舌で押しつぶす。これを数回繰り返す。aaバルーン舌拳上b図8b

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